Malaysiaへの旅行を計画しているときに日本との時差について気になりませんか?
本記事では次のような疑問にお答えするように書きました.
Malaysiaの時間に関する疑問
- Malaysiaと日本の時差は何時間?
- Malaysiaにはサマータイムがあるの?
- Malaysiaの時間は周辺国となぜ違うの?
Malaysiaと日本の時差は「1時間」です.サマータイムは導入されていませんので,一年を通して時差は同じ1時間です.
私はMalaysiaの首都Kuala Lumpurで生活を3年以上しています.現地時間には違和感があり,朝起きても外は暗く,夜は19:30まで明るいです.
Malaysiaの首都Kuala Lumpurの経度は東経102度ですので,日本の経度の差は33度.経度から計算すると,時差は2時間15分ほどないとおかしいのですが,実際は時差は1時しかありません.
Malaysia時間が「奇妙」であることは周辺国の時間と比較すると,より一層明白になります.
本記事では,Malaysiaと日本の時差とMalaysiaの時間がどのように決まったかを解説します.
SingaporeはMalaysiaに合わせる形で時間を調整した歴史があります.
この記事を読み終える頃には,Malaysiaについてより理解が深まります.
Malaysiaと日本の時差は1時間
Malaysiaと日本の時差は1時間です.
日本との時差が1時間なので旅行でMalaysiaを訪れるときも,時差ボケの心配はありません.
本章ではMalaysiaの時間について解説します.
Malaysiaと日本の時差は1時間
日本の時間はMalaysiaの時間よりも1時間早いです.
日本 | Malaysia | |
標準時間 | UTC +9:00 | UTC +8:00 |
「UTC」とは「協定世界時」のことでグリニッジ子午線を基準とした世界的な時間標識です.
例えば,日本が朝9時の時,Malaysiaでは朝8時となります.
サマータイムはない
Malaysiaでは「サマータイム制度」は採用されていません.
「サマータイム制度」とは日照時間が長くなる時期に時間を早めることで日照時間を有効活用する制度.
一年を通して同じ時間が採用されていますので,日本とMalaysiaの時差は常に1時間です.
中国,台湾とは時差がない
Malaysiaと同じ時間を採用している国・地域としては次があります.これらの国・地域とMalaysiaは時差がありません.
UTC +8:00の国・地域
- Malaysia
- Singapore
- 中国
- 台湾
周辺諸国に比べてマレーシアの時間は変?
MalaysiaはUTC +8:00の時間を採用していますが,世界地図で見ると不思議なことに気が付きます.
地図で見るとMalay半島はUTC +7:00の範囲にある
世界地図をUTCの時間帯ごと区切った図が次になります.MalaysiaとSingaporeだけ赤枠で拡大しています.
出典:Wikimedia Commons World Zones Map (灰色枠は筆者加工)
UTC +8:00の緑帯が,Malay半島のところだけUTC +7:00の青帯に食い込んでいます.
地理的には日本との時差は2時間
Malay半島は地理的にはUTC +7:00に属し,日本との時差は2時間となるべきですが,現実はUTC +8:00となっていて日本との時差は1時間です.
Malaysiaと周辺諸国のThailand,VietnamとMalaysiaは時差が1時間ありますが,地図上で見ると本来は時差がない方が自然です.
Malaysiaと日本の時差はなぜ1時間?
Malaysia時間は近い経度にある周辺諸国と比べても違和感がある時間設定になっています.
実は過去にはMalaysia国内であっても時間が統一されておらず,Malay半島と東Malaysiaで時差が30分ありました.
次の図のようにMalaysiaは西にあるMalay半島と,南シナ海に浮かぶ東Malaysia(またはBorneo島とも呼ばれる)に分かれます.
東方政策で有名なMahathir元首相が1982年1月1日から国内の時間を東Malaysiaの時間に合わせる政策を実施しました.
東Malaysiaに合わせた時間を採択したことで,Malay半島は地理的な位置にもかかわらず不思議な時間が使われ続けて今に至ります.
歴史を紐解きながら,今のMalaysia時間が採用された経緯を整理します.
本章の内容は次の論文を参考にしました.
→ The Change of Malaysian Standard Time: A Motion and Debate in the Malaysian Parliament
Malaysia時間の変遷
Malaysia時間が現在のUTC +8:00になったのは1982年以降の話で,それ以前は時間は歴史と共に変遷していましす.
歴史のある時点では,「Kuala Lumpur 7:30,東Malaysia 8:00,東京 9:00」というように,Malaysia国内でも時差があり,日本との時差もいまとは異なりました.
暗い歴史ですが,日本軍によるMalaya占領により現地時間が日本時間に合わせられた歴史があります.
1900年代,第二次世界大戦まで
第二次戦前までは,Kuala Lumpurの標準時間はSingaporeで採用されていた時間GMT+06:55:25を採用していました.
英国による植民地時代にMalaysiaとSingaporeの時刻を揃えられました.
1905年以降,時間を丸めてUTC +7:00に変更されました.
それ以降もMalaysiaの時間は度々変更されていきます.
第二次世界大戦からMalaysia建国まで
第二次世界大戦中に日本がMalayaを占拠すると,現地の標準時間が日本と同じUTC +9:00に強制的に変更されました.
戦後からMalaysiaが建国される1963年9月16日までは「British Malayan Standard Time」が採用されます.
Malay半島の時間はUTC + 7:30.
一方の東MalaysiaはBorneo島はUTC +8:00で,Malaysiaが建国した後も国内で2つの時間が併存することになります.
1982年にMahathir首相が時間を統一
Malaysia国内であっても時間が統一されておらず,Malay半島と東Malaysiaで時差が30分ありました.
Malay半島 | 東Malaysia | |
標準時間 | UTC +7:30 | UTC +8:00 |
首相に就任して3ヶ月ばかりのMahatir首相は,1981年12月21日国会に国内自治のために国内時間を統一する動議を提出して,国会ですぐに採択されました.
そして,動議に基づき1981年12月31日の深夜23:30にMalay半島の時計を一斉に30分早めて,1982年1月1日から東Malaysiaの時間帯UTC +8:00に統一されます.
Mahathir首相が国内の時間を統一した理由
当時,Malay半島と東Malaysiaで時差が30分ありましたが,Mahathir首相が国内の時間を統一しようとした理由は次が述べられています.
国内時間統一の理由
国内で時差があると経済活動に支障がある
東Malaysiaの時間UTC +8:00が採用された理由
Malaysiaの国内時間が統一されるに際して,問題は「Malay半島の時間と東Malaysiaの時間,どちらを採用するか」ということでした.
結果的に,東Malaysiaの時間が採用されたのですが,Mahathir首相が述べた理由は次です.
東Malaysia時間が採択された理由
- 日照時間を有効に使える
- 国際習慣によれば時差は30分刻みではなく,1時間刻みにすべき
当時,Malay半島の時間はUTC +7:30でしたので,「切り」が良い東MalaysiaのUTC +8:00が選ばれました.
Malaysiaと日本の時差が1時間の理由
東Malaysiaは日本との経度差が25度ほどなので,時差が1時間というのは地理的位置からすると理解できます.
25° / 360° × 24時間 = 1.67時間
東Malaysiaを基準にMalasia全国の標準時間が決められたため,Malaysiaと日本の時差は1時間となっています.
SingaporeはMalaysiaと同じUMC +8:00を採用
Singaporeは1965年にMalaysiaから独立を果たした後も,Malaysia半島と同じUTC +7:30を採用していました.
1982年にMalaysiaが東Malaysia時間であるUTC +8:00に変更したのち,MalaysiaのMahathir首相とSingaporeのLee Kuan Yew首相は両国間で統一した時間設定にすることに合意に至りました.
→TRP : The Forgotten History Of Malaysia’s 6 Timezone Changes
SingaporeはMalaysiaに追随する形で,自国の時間をUTC +8:00に変更しました.
時間についてMalaysia在住者の感想
前の章で書いたように,東Malaysiaの時間(UTC +8:00)にMalay半島の時間が変更されて統一されたため,Malay半島の住民としては違和感のある時間となっています.
Malay半島西海岸側にあるMalaysiaの首都Kuala Lumpurに住んでいる私がMalaysia時間に対して感じていることを紹介します.
日の出・日の入り時間
Kuala Lumpurの緯度は北度3度で,赤道から近いです.
一年を通して日の入り・日の出の時刻が大きく変化しません.
Malaysiaの日の出・日の入り時刻は次です.
日の出 | 日の入り | |
時刻 | 7:00-7:30 | 19:00-19:30 |
一年を通じて日の出・日の入り時間が30分の幅でしか動かないので,日照時間で季節の変わり目を感じることはほぼありません.
朝7時は真っ暗
Kuala Lumpurの自宅で朝7:00前に目が覚めると,まだ窓の外は真っ暗です.
Malaysiaの日の出時間は朝7時ごろです.
日の出の時間が遅いので,毎朝通勤するときは暗い高速道路を走っています.
夕方は19時半まで明るい
日の入り時刻が遅いので残業していても,残業した気分になりません.
午後18:00ごろから食事をすると,日本でいうところの昼下がりみたいな明るさで乾杯をすることができます.
日本との仕事はしやすい
私は海外駐在員として日本の本社と連絡を取り合って仕事を進めることが多いのですが,日本とMalaysiaの時差が1時間であるため業務時間がほぼ重なり連絡の効率は良いです.
不満があるとすると,Malaysiaのお昼休み12:00-13:00が日本時間の13:00-14:00にあたるため,日本の同僚がMalaysiaの昼休みの時間にオンライン会議設定をしてきてお昼の時間が取りづらいところです.
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東マレーシアは日本の感覚と同じ
Malaysiaは,地理的にはMalay半島と東Malaysiaに別れています.地理的には飛行機で東西に2時間半移動することになります.
私はMalay半島に住んでいるのですが,東MalaysiaのSabah州に旅行に行ってみたところ現地では時間がすごく馴染みました.
東Malaysiaの時間をもとにMalaysia全国の時間が決まっているので,東Malaysiaの時間設定が自然に感じられたのは当たり前といえば当たり前です.
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まとめ:マレーシアと日本の時差は1時間,東と西の統一にかけた歴史がある
Malaysiaと日本の時差について解説を解説しました.
本記事のポイント
- Malaysiaと日本の時差は1時間で,日本の方が時間が早い
- Malaysiaは周辺諸国と時間がズレている違和感がある
- 1982年1月1日から現在のMalaysia時間が採択
MalaysiaはMalay半島と東Malaysiaに別れており,過去には国内でも「時差」がありました.
国内の統一のためにMahathir首相が現在のUTC +8:00を採択して,国内の経済を円滑に行えるようにしました.
首都Kuala Lumpurに住んでいると慣れない時間ですが,日本との時差が少ないところは良いところです.
ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます.
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