大航海時代に貿易の要として栄えた都市「Melaka(Malacca)」.
Melakaのオランダ広場(Dutch Square)に到着すると印象的な教会があり,現在でも街中を歩くと旧植民地時代の遺跡があり,Malaysiaにおいて異国情緒を感じさせます.
本記事は次のような疑問に答えるように書きました.
マラッカ旅行に関する疑問
- Melakaでの観光名所と観光の道順を教えてください.
- Melaka現地でのおすすめの食事は?
- Melakaまでの交通手段は?
Malaysiaの首都Kuala Lumpurから車で2時間ほどの距離にあるため,日帰り旅行も可能です.
本記事を読むと,Malaysiaの世界遺産「Melaka」を楽しむことができるようになります.
本記事は次の方におすすめです.
こんな方におすすめ
- Malaysiaへの旅行を計画されている方
- Malaysia在住で日帰り旅行をしたい方
なぜなら,私はMalaysia現地で働いている駐在員です.
仕事を除いた観光目的でもMelakaには3回訪れており,Malaysiaに来た家族をMelakaに連れて行き観光案内をしたり,一人旅でMelakaを旅したこともあります.
MelakaはMalaysiaの歴史を語る上では欠かせない街ですので,一度は訪れたい場所です.
この記事では,次のことを中心にまとめました.
本記事のポイント
- Malaysia世界遺産Melakaは日帰り旅行可能
- 異国情緒溢れるMalacca海峡をのぞむ街を歩く
- Melakaを楽しむためのおすすめ観光コースを紹介
この記事ではMelakaの魅力を一つでも多くお届けするように書きましたので,最後までお読みいただけると幸いです.
Melakaはこんなところ!
Melaka はMalaysiaの歴史を語る上で起点となると言っても過言ではない重要な街です.
現在は人口約60万人の都市で,観光だけではなく,製造業においても発展をしています.
Malacca海峡に面した地理的な優位性から,Melakaは貿易の中継地として栄えました.
いまではMalaysiaの国教はIslamであることは広く知られています.
歴史を紐解くとMelakaに立ち寄ったMuslimの商人が現地にIslamを伝えたことが影響して,15世紀にはMalaysiaでIslamが普及します.
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海運の要所として発展
貿易上の重要な拠点としてMelakaは栄えた一方で,各国が支配権を争う混沌とした歴史をたどります.
- ポルトガル(1511年 - 1641年)
- オランダ(1641年-1842年)
- イギリス(1824年-1957年)
- 日本(1942年-1945年)
現在でも旧植民地時代の建物を見ることができます.街を見下ろす丘に立ちMalacca海峡を眺めると,大航海時代の当時と同じ風を感じることができます.
Melakaの名称
初めに,地名について「Malacca」と「Melaka」の両方の表記を目にするのですが,どちらが正しいのでしょうか?
2017年5月にMelaka州政府は,地名の正式表記を従来の「Malacca」から「Melaka」に統一することを発表しました.
→The Straits Times: 'Malacca' now known as 'Melaka': State government
「Melaka」は現地語であるMalay語による表記です.
「Malacca」は日本語で書くと「マラッカ」となるのですが,正式名称である「Melaka」の読み方は「ムラカ」です.
日本語表記は正式名称である「Melaka」にあわせて「ムラカ」にするべきなのですが,「ムラカ」はあまり馴染みのない方が多いと思いますので,本記事では日本語表記のときは「マラッカ」と書きます.
Melakaへの行き方
Melakaは,Malay半島西海岸沿いのMalacca海峡を臨む街です.
車で行く場合
首都Kuala Lumpurからは150km離れており,車で片道約2時間ほどです.
南北にのびる高速道路があるので移動は快適なのですが,Melaka近くになると車線が減って若干渋滞がしやすくなります.
また高速道路を降りた後,Melaka周辺は週末になると大渋滞します.
地理的にはMelakaはKuala Lumpurと最南端の州Johor Bahruの中間点にあり,Johor BahruからMelakaに訪れる際も同じように2時間ほどの時間がかかります.
バスで行く場合
Kuala LumpurからMelakaまでは高速バスも運行しており,料金はRM11-RM16(日本円 400-500円)ほどです.
TBS(Terminal Bus Selatan)でチケットを購入することができます.
おすすめMelaka観光コース
Melakaの観光をするにあたり,観光にかかる時間とおすすめの観光コースを紹介します.
Kuala LumpurからMelakaまでの距離は,東京から伊豆半島と近いです.日帰りも可能だけれど,週末でゆっくり一泊することもできます.
Malaysiaは治安が良い国ですが,Melakaも例外ではなく治安は良いです.ただし,スリ・置引きにはご注意ください.
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Malaysiaでは広く英語が話されますが,Melakaは観光地とあり英語が通じる場面がほとんどです.
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Melakaは日帰り旅行可能
Melakaについては首都圏から車で日帰り旅行ができる距離にありますので,現地に滞在しなくても半日の予定でMelaka観光をすることができます.
私は過去に3回訪れていますが,すべてKuala Lumpurからの日帰り旅行です.
Melakaの観光は直径1kmほどの円に含まれるので日帰り旅行でも充分に歩いて回ることができます.
一方で,夜市(night market)を観光したい場合はMelaka現地で一泊した方が良いとは思います.
Melaka観光の所要時間
Melakaの観光名所は徒歩圏内にまとまっており,見どころがある地域を隅から隅まで歩いても1時間ほどです.
MelakaはMalaysiaでは珍しく歩いて楽しめる観光地ではあるのですが,炎天下での移動となるため熱中症については充分注意が必要です.
Kuala Lumpurの日帰りで充分にMelakaの主要観光名所をまわることができます.急いで回れば4時間ほどです.
Melakaを訪れた際にぜひ訪れたい場所が海上のモスクとして有名な「Melaka Straits Mosque」です.
Malacca海峡に沈む夕日に輝くピンク色のモスクは綺麗ですので,ぜひ日没の19:00ほどまではMelakaでお過ごしください.
日帰り旅行日程
私が実際にMelakaを訪れた際の日帰り旅行のモデル・コースをご紹介します.
日帰り旅行例
8:30
Kuala Lumpur市内のホテルを出発
10:30
Melaka到着
11:00-11:15
Gereja St. Francis Xavier(セント・フランシス・ザビエル教会)
11:30-12:30
お昼ごはん
12:45-13:00
オランダ広場
13:00-13:30
歴史民俗学博物館
13:45-14:15
Gereja St. Paul, Bukit Melaka(セントポール教会)
14:30-14:45
A Famosa
15:00-15:30
Melaka Sultanate Palace Museum(マラッカスルタンパレス)
16:00-16:30
Flor de La Mar(マラッカ海洋博物館)
16:45-17:15
Melaka River Cruise (マラッカ川クルーズ)
17:30-17:45
Jonker Street街歩き
18:00-18:15
青雲亭(チェンフーテン)仏教寺院
18:30-18:45
カンポン・クリン・モス
19:00-19:30
Melaka Straits Mosque
22:00
Kuala Lumpur市内のホテル到着
おすすめのランチ
Melakaといえば「チキンライス」が有名で,Jonker Streetにたくさんのレストランが並びます.
Jonker Streetにはレストランが数多くあるのですがお昼時は観光客で混み合います.
初めて訪れる際はチキンライスをお試しいただきたいのですが,本記事では少し街の中心から離れたところにあるNyonya料理のおすすめ店を紹介します.
私は訪れて美味しかったお店が「Bulldog」です.
住所:145, Jalan Bendahara, 75100 Melaka
古い建物を改装してできた店内は白い壁に絵が飾ってあり,生演奏が聞けるステージがあり初見ではNyonya料理店に見えません.
Nyonya料理は華僑文化とMalaysia文化が融合してできた料理で,お互いの料理方法を取り入れた新しい料理です.
「Bulldog」の鶏肉を使った料理は香辛料がキツすぎずに,程よい香料で美味しかったです.
ジャスミンの香りがついたご飯とライムのジュースを飲みながら,午前中の疲れを癒しました.
Bulldogでのお会計
- Ayam Limau Perut S RM 10
- Fried Okra Garlic/belacan RM10
- Jasmine Fragrance Steamed Rice RM 2
- Lime Juice Rm 8.5
- Service charge 10%
合計 RM 33.55
Melakaの観光名所
Malaysiaにおける「横浜」のような異国情緒あふれるMelakaの観光名所をご紹介します.
Melakaには歴史的な教会や軍事的な要塞が現存しており,黒船の到来を経験したMalaysia現地の人たちの当時の歴史を感じさせる博物館があります.
Melaka River Cruise
Melaka観光の中でもおすすめは「Melaka River Cruise(マラッカ川クルーズ)」です.
30分ほどのクルーズでMelaka川を北上して,途中で折り返して同じ乗り場に戻ってきます.
乗り場と搭乗券売り場は,「オランダ広場」から「海洋博物館」に向かう川沿いにあります.
搭乗券は外国人の場合,次の料金になります.
- 大人(12歳以上) RM30
- 子供(2-12歳)RM25
船の上からは建物に描かれた壁画を迫力満点で見ることができました.
Melakaの街並みを川から見ると,建物は同じレンガ色をしており静かな街並みです.
クルーズは夜まで営業しているので,夜ライトアップされた川クルーズは昼とは違った雰囲気を楽しむことができます.
Gereja St. Francis Xavier
「Gereja St. Francis Xavier(セント・フランシス・ザビエル教会)」は1849年に建設されたゴシック建築の教会で,目の前にMelaka川に面しています.
Melaka川クルーズから乗っている時も豪壮な白い建物を目にすることができます.
中庭にはザビエル(St. Francis Xavier)像とやしろう像が建っています.
銘板に平仮名で「やしろう」と書かれた日本人と思われる人物については来歴について謎に包まれているようです.
オランダ広場・スタダイス・歴史民俗学博物館
朱色が特徴的な「The Stadthuys(スタダイス)」は1650年にオランダ植民地のもとで建てられた総督らの居住建物です.
Melaka観光の中心地と言えるオランダ広場には噴水があり,周りには観光者待ちの人力車トライショーが並んでいます.
派手な人力車はMelakaの名物となっていますが,私が訪れた時は大音量の音楽も流れておらず随分と静かになったと感じました.
「The Stadthuys(スタダイス)」の中は歴史民族学に関する博物館となっていて,Melakaを各国が植民地としていた時代の遺物が展示されています.
Melakaがどのように大航海時代に変異していたか,詳細な絵画やジオラマをもとに再現されています.
Gereja St. Paul, Bukit Melaka
「The Stadthuys(スタダイス)」を出て,さらに15分ほど小高い丘を登ると「Gereja St. Paul, Bukit Melaka(セントポール教会)」があります.
1521年に建てられた教会後には,日本人には有名なXavier(ザビエル)宣教師の遺骨が9か月安置されました.
日本も訪れたXavier宣教師が,歴史の中で日本とMalaysiaを繋いでいたと感じると二つの国が決して離れた国ではないと感じます.
Xavier像の右手が欠けていますが,理由は不明のようです.俯いている顔は何を憂いていたのでしょうか.
天井が崩落した教会跡には緑が空間を埋めており,不思議な空間が目の前に広がります.
Islam国家において異教の象徴である教会が現在まで保存されていることが意外であり,Malaysiaの異教に対する寛容性を表しています.
教会跡の外には大樹が繁茂しています.
かつてオランダ総督が現地を監督していた時と現代の時間をつなぎ合わせるように目の前の光景を自然が覆い尽くしています.
教会が建っている丘からはMalacca海峡とMelaka Towerが一網できます.
海側にはあまり高い建物が建っておらず見晴らしが良かったです.
A Fomosa(サンチャゴ砦)
ポルトガルによ植民地時代に建てられた1512年に建てられた「Fomosa要塞」は,度重なる争いによって破壊されていますが今なお原型が残されています.
要塞は「Gereja St. Paul, Bukit Melaka(セントポール教会)」がある丘を降った地表にあります.
1807年に英国軍がMelakaに侵攻すると,かつてオランダ軍が立てた要所を破壊して,その中で「Fomosa要塞」も例外なく取り崩されてしまいますが一部が残されました.
要塞が建てられた当時は60mの高さがある塔を含む大規模な要塞だったようです.
修復作業も施されており,レンガ造りのアーチの上には綺麗なレリーフを見つけることができます.
Melaka Sultanate Palace Museum(マラッカ・スルタン・パレス)
「Melaka Sultanate Palace Museum」は,15世紀から16世紀に編集された歴史書「Malay Annals(sejarah Melayu,マレー王統記)」をもとに近年建設された王宮建築の博物館です.
1984年に建てられた博物館は木造式で,館内ではMelakaの歴史,伝統的な装飾物,そして武器などが展示されています.
「Fomosa要塞」から歩いて数分の距離にありますので,時間があればぜひ立ち寄ってみてください.
博物館内では精巧な人形が,Malay王朝における光景を現代に甦らせています.
Flor de La Mar(マラッカ海洋博物館)
Malacca川沿いを歩いていると「Flor de La Mar(マラッカ海洋博物館)」があります.
博物館といっても,巨大な船をもした博物館で実際に川に設置されています.
博物館の入り口は,建物2階にあたるデッキに入り口があります.まるでMalaccaに停泊した船に乗ったような感覚になりました.
館内に入る前に靴を脱ぎます.
館内では航海時代の船の模型が展示されています.船の中で囚われの身となった人々の人形があり,不気味な感じもしました.
Jonker Street
「オランダ広場」の対岸は,15世紀以降に栄えた華僑文化の街「Jonker Street」があります.
長屋が並んでいる小さな地区で,至るところにレストラン,軽食屋,お土産屋があり食べ歩きを楽しむことができます.
長屋の中には華僑文化を保存した博物館が数多くあります.
長屋に入ると驚かされるのは,奥行きの深さです.
「鰻の寝所」と言われる長屋造りが日本でもみられますが, Melaka華僑の長屋も入り口が狭く奥行きの長い建築になっています.
中庭もあり華僑文化を現代に受け継いでいます.
100年前の街並みの写真が飾られており,Melakaの街並みの変遷も知ることができました.
Malacca川沿いも歩道が整備されており,おしゃれなカフェやバーが並びます.
川沿いの開放的な雰囲気のMalacca街は異国情緒がありました.
街歩きをしていると華僑文化を感じたりMalaysia文化にであったり,そして植民地時代の歴史を学ぶことができます.
Cheng Hoon Teng (青雲亭)
1646年に中国大陸から運ばれた材料をもとに建てられたという「Cheng Hoon Teng(青雲亭)」はMalaysiaでも最古のお寺です.
夕暮れ前の時間に訪れたところ閉門をしていましたので,早めの時間に訪れた方が良さそうです.
お寺の周りでは線香を販売していたり仏具を扱っているお店がありました.
Masjid Kampung Kling
「Masjid Kampung Kling」は,18世紀に建てられたMelakaでも古いモスクです.
モスクは当初は木造で建てられましたが,再建された時にレンガで作り直されました.
幾何学的な典型的なモスクの建築ではなく,仏塔を思わせる塔や深い緑色の三角屋根が特徴的です.
「Masjid Kampung Kling」の近くには「青雲亭」「Sri Poyatha Moorthi Temple」があり,Malaysia文化,華僑文化,印僑文化(Indiaからの移住してきた子孫による文化)が混じり合いを象徴しています.
Melaka Straits Mosque
「Melaka Straits Mosque」は,Melaka市街外れにある人工島「Malacca島」の海側に建っています.
市内からは4km離れていますので車での移動がおすすめです.
島の開発はRM 1,000万(日本円 約3億円)かけられていてホテルや商業施設が建設されていましたがモスク以外は本格的に開業していないようでした.
モスク正面からは分かりづらいのですがモスク横から見ると,モスクが海の上に建てられていることがよく分かります.
ピンク色の建物と空と海の青色が対照的です.
モスク内に入らなくても,Malacca海峡を眺めることができる名所になっています.
コンテナ船が遠くに水平線をなぞるようにゆっくりと移動をしていきます.
おすすめは日の入りの時刻です.「Melaka Straits Mosque」は有名なMelakaの夕日スポットになっています.
まとめ:マラッカで歴史と文化を感じる日帰り旅行を!
Malaysiaにおいて世界遺産に登録されている「Melaka」は,Malaysiaの首都Kuala Lumpurから日帰り旅行で行けるおすすめの旅行先です.
Melakaは大航海時代に貿易な重要な港として発展しましたが,一方で地理的な重要さゆえにポルトガル,オランダ,英国,日本と入れ替わりで植民地化をされてしまいます.
Melakaでは街並みが綺麗で歩きながら,さまざまな文化に触れ合うことができます.
Malaysiaの中でも華僑の文化が色こく残っており,建物の作りにも中国の影響が見られます.
さらに植民地時代の遺跡が保存されていて,かつての大航海時代と同じ海原を見ながら歴史が現在に甦るような感覚がありました.
ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます.
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