本記事を書いている8月20日時点で,Malayisa国内の成人人口50%(約1,100万人)がワクチン接種2回を完了させています.
Malaysia国内のワクチンに関していくつか気になった数字を備忘録として書き残しておきたいと思います.
本記事のデータは下記のGitHubデータを参照しました.貴重なデータの提供に感謝します.
-
マレーシア,ワクチン接種に関して知っておきたい9つの事【マレーシア ワクチン】
続きを見る
接種ワクチンの種類
Malasyia国内では2021年8月時点で,次の3種類のワクチンが認可されて接種をされています.
- Sinovac製
- Pfizer製
- AstraZeneca(AZ)製
ワクチン承認状況(8月5日時点)
国家ワクチン接種方針によると,Malaysia政府として次のワクチンを調達していくことを予定しています.
ワクチン種類 | 調達量(人口あたり%) | 配布開始時期 | 承認状況 |
Pfizer | 4,480万回 (70%) | 2021年2月24日 | 2021年1月8日(6月15日に12歳以上に拡大) |
AZ | 640万回 (10%) | 2021年5月5日 | 2021年3月2日 |
Sinovac | 1,200万回(19%) | 2021年3月18日 | 2021年3月2日 |
CanSino | 350万回(10%) | 2021年7月末 | 2021年6月15日 |
Sputnik V | 640万回(10%) | - | 審査中 |
JJ | - | - | 2120年6月15日 |
Covax | 640万回(10%) | 2021年5月5日 | - |
次にMalaysia国内でのワクチン種類ごとの接種数について整理します.
ワクチン接種割合:50%はSinovac製
2021年8月までの累計として,Malaysia国内で接種されたワクチン種類別の割合は次のグラフになります.
第1位は中国産のSinovac製のワクチンで,接種された全ワクチンの50%となります.
ポイント
2021年8月19日までの累計ワクチン接種数
- Sinovac 約1,500万回(50.2%)
- Pfizer 約1,200万回(41.9%)
- AZ 約200万回(7.9%)
Malaysiaは,国内で複数のワクチンを並行して接種していることから,ワクチン種類ごとの病原体に対する貴重な医療データを持っています.
データを開示すると,ワクチン接種者の混乱を招くので,データーの開示を避けているのかと推測します.
ワクチン接種計画に対する進捗
2021年2月に発表されたMalaysiaワクチン接種計画に対して,2021年8月時点でどのくらい進捗しているかを確認してみます.
進捗率をワクチンごとにまとめた表は次です.(2021年8月19日時点)
進捗率 | |
Sinovac | 107% |
Pfizer | 50% |
AZ | 38% |
ポイント
2021年8月時点で,Malaysia国内の成人人口50%にワクチン2回接種が完了しています.
国民の40%接種を計画しているPfizer製ワクチンですが,計画に対して50%の進捗となっており,計画の明暗はPfizer製ワクチンの供給にかかっています.
Sinovac製の供給はもうすぐ停止?
2021年7月中旬になり,Malaysia保健省は急遽,Sinovac製の発注を止めて在庫を持って当社のワクチンを終わりにすると発表をしていました.
→Reuters: Malaysia to stop using Sinovac vaccine after supply ends - minister
Sinovac製の購入を停止する明確な理由は述べられていませんが,近隣諸国で中国製のワクチン購入停止を受けた流れを受けているのだろうと推測されます.
一方で,製薬会社Pharmaniaga Berhadは,追加で600万回分のSinovac製ワクチンを供給する契約を政府と交わしたことを発表しました.
→The Star: Pharmaniaga to supply more vaccines
ポイント
Sinovacはすでに当初のワクチン接種計画数を超えて接種を行っており,政府は追加の購入を停止すると発表していますが,Pharmaniaga社が継続購入をしているために当初の計画数を超えてSinovac製ワクチンの接種数が増加しているようです.
ワクチン進捗率:50万回/日を維持
Malaysia国内では,ワクチン接種が急加速して一日あたり50万回の接種が行われています.
日本では1日あたり120万回の接種が行われたこともありましたが,Malayisaの人口を日本に置き換えると1日あたり200万回接種が行われており,Malaysia政府が大規模にワクチン接種を行っているかご理解いただけると思います.
次にワクチン1回目と2回目の接種数のグラフをそれぞれ切り分けます.
ワクチン1回目接種数の推移
ワクチン接種1回目は7月28日ごろに極大となっており,以降,減少に転じています.
12-17歳の国民はワクチン接種を受けていませんでしが,2021年9月15日以降,国内のワクチン供給状況をみながらこれらの未成年にもワクチン接種を受けられるように政策が変更されました.
→Code Blue: Malaysia To Offer Teens Covid-19 Vaccines From September
ワクチン2回目
各種ワクチンは1回目と2回目に3週間以上の期間を原則設けることになっています.
→MOH: CLINICAL GUIDELINES ON COVID-19 VACCINATION IN MALAYSIA
→The Star: Khairy: Malaysia to shorten AstraZeneca dosing interval from 12 to nine weeks
接種1回目と2回目の間隔 | |
Sinovac | 2-4週間 |
Pfizer | 3週間 |
AZ | 9週間 |
ワクチン接種1回目は7月28日に極大点となっていますので,2回目ワクチン接種の極大点はおおよそ3週間後である8月20日ごろと見られます.
ワクチン接種別の接種状況
Sinovac,Pfizer,AZのワクチンそれぞれの接種状況について,種類別に紹介します.
Sinovac:7月末で購入停止の一方で,接種は継続
Sinovac製ワクチンはワクチン計画の当初購入数よりも7%多くすでに購入していますが,さらに接種数は伸びそうです.
まだ1回目の接種数が減少傾向を見せておらず,1回目接種が収束に向かってから2ー4週間後に2回目の接種も終わるとみられます.
Pfizer:1回目の接種数が減少中
気になるのはPfizer製ワクチンの一回目接種の回数が7月末を境に急激に落ちていることです.
8月下旬になるとPfizer製ワクチン2回目接種数は,1回目の減少傾向が遅れて反映されてくるでしょう.
ワクチン接種計画に対してPfizer製ワクチンの接種数は50%に到達したばかりなのに,すでに1回目接種数が減少傾向を見せています.
Malaysia国内では9月15日以降,12-17歳の国民へのワクチン接種が開始します.
そして,未成年への接種が認められているワクチンで流通しているものはPfizer製ワクチンのみです.
→CodeBlue: Malaysia Approves Pfizer Jab For Teens, CanSino And J&J Covid-19 Vaccines
未成年者へのワクチン接種は学校での対面授業再開の重要な要素となりますが,Pfizer製ワクチンの供給が根詰まりは大きな懸案事項です.
AZ(AstraZeneca)
AZ製ワクチンは計画では640万回分(320万人分)の接種を計画していましたが,まだ進捗率は38%です.
AZ製ワクチンは全体のワクチン接種数からすると計画時点でも少数でしたので,AZ製ワクチンの進捗は大勢には影響はしていません.
AZ製ワクチンはKuala Lumpurを中心に使用されており,Kuala Lumpur在住の方にとっては2回目ワクチン供給の遅延は大きな影響になりそうです.
州別の接種ワクチン種類
Malaysiaの州ごとに接種しているワクチンを種類別に使用率として整理して,ワクチンの種類ごとに使用率の最も多い3つの州を並べました.
Sinovac製 | Pfizer製 | AZ製 | |
第1位 | Labuan 95.8% | Sarawak 79.0% | Kuala Lumpur 25.3% |
第2位 | Perlis 72.0% | Selangor 58.6% | Pinang 12.4% |
第3位 | Negeri Sembilan 66.0% | Kuala Lumpur 52.1 | Johor 9.4% |
例えば,Labuanでは接種されたワクチンの95.8%がSinovac製となっています.2021年8月時点で,Labuanは最も新型肺炎を抑え込んだ州(正しくは連邦直轄領)です.
まとめ:成人人口へのワクチン接種率50%,Pfizerの供給が懸念
Malaysia国内のワクチン接種状況について,2021年8月時点の情報をまとめました.
成人人口に対してワクチン接種2回完了した率は約50%となっており,更なるワクチン接種人口の増加によりMalaysia国内の急激に悪化した感染状況が改善することが期待されます.
2021年7月時点で1回目ワクチン接種数の極大点は通り越しているので,8月下旬から2回目接種数も減少すると予想されます.
9月15日からは12-17歳の国民に対するワクチン接種が開始するので,9月中旬以降にワクチン接種数は再び上昇に転じそうです.
-
マレーシア,ワクチン接種に関して知っておきたい9つの事【マレーシア ワクチン】
続きを見る
ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます.
最後に,日本にいても,海外にいても気軽にonlineで英語学習ができる『レアジョブ』を紹介させてください.
レアジョブなら1回レッスンが142円とコーヒー一杯分の値段で,将来に向けた英語の自己投資ができます.
私も学生の頃から5年間以上レアジョブで英語学習を続けて,Malaysia駐在の機会を得ることができました.
自己投資こそ,将来の収入を増やす王道だと思います.
上記リンクからたった10分ほどの登録で,無料のお試し授業を受けられます.ぜひお試しください.