マレーシア一般

マレーシア陽性者数が奇妙,MCO 2.0に高まる不満

2021年1月30日

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こにゃん
こんにちは,こにゃん(@こにゃん)です.

2021年1月29日,30日と2日連続で1日あたりの新規陽性者数過去最高値を更新しました.

 

直前数日前まで,3,000〜4,000人の間で推移していたにもかかわらず,急に陽性者数5,700人台に飛び上がりました.

MCO 2.0と非常事態宣言で感染症を抑え込もうとしていた政府に対して,批判が集まっています.

 

過去の陽性者数が遅れて登録,異常な数字の伸びに

2021年1月29日のMalaysia国内の新規陽性者数は5,725名でした.

一日前の1月28日の新規陽性者数は4,094名でしたので,1,631名(+40%)という異常な感染拡大を示しました.

 

1月29日の爆増した数字を見て,私はあり得ないと考えました.理由を説明させてください.

PCR検査数からするとあり得ない数字

ポイント

Malaysiaの2021年1月時点,1日あたりのPCR検査数は,最大70,000件です.

 

将来的に,2倍まで検査能力を増強して,一日あたり150,000件を目指すとMalaysia保健省は会見で述べています.

The Edge Markets: Malaysia aims to more than double Covid-19 testing capacity to 150,000 a day

一方で,過去の統計から推測するに,1月16日から22日までの1週間検査数平均は45,253件,1週間平均陽性率は5.6%でした.

したがって,もし仮に,PCR検査を最大数70,000件行ったとしても,陽性率が一定の5.6%ならば,現行のPCR検査能力で検出できる1日あたりの最大陽性者数は3,920件です.

 

当然,検査数と陽性率は日によって誤差は出るので,正確に3,920件が上限となるわけではありません.

 

しかし,国内の感染状況は急激に変化するわけではないので,4,000件あたりが最大数の目安だと考えていました.

そうだとすると,1月29日の5,725名,30日の5,728名は”あり得ない”数字ということになります.

 

では,なぜこんな”あり得ない”数字が起きたのか?答えは簡単でした.それは,次の理由です.

ポイント

過去の陽性者数を報告しておらず,今になって報告値に計上した.

Selangor州の過去集計未処理分が原因

Selangor州Datuk Seri Amirudin Shari知事は会見を行い,29日の感染者数は過去の集計未処理分を計上したためだと明かしました.

Malay Mail: Selangor MB says record-breaking Covid-19 cases due to backlog, failure to report in ‘real time’

Selangor州は29日,3,126名の新規陽性者を報告しており,全国の陽性者の内54%を占めています.

人口が多く工場が密集しているので,Selangor州の感染者数が傾向として多く出ることは理解しています.

 

Selangor州人口はもともと,Malaysiaの州の中では一番多いです(約660万人).Selangor州の統計がズレると全体への影響は大きくなります.

Selangor州知事は,工場,刑務所,民間病院でのPCR検査結果が"real-time(時間通り)"に報告されていなかったことを理由に挙げています.

 

集計dataの中には,10日前のものも含まれているそうです.

ただでさえ,感染病原体は潜伏期間が長いと言われており,これに集計の遅れ10日が加わると,いま私たちが現在見ている数字(の一部)は1ヶ月前の過去の感染状況を見ていることになります.

 

それでは,正しい感染症対策なんて講じられないです.

 

集計未処理問題に触れて,今後は,州保健局が指導して民間医院の陽性者dataを同日中に公共健康研究室情報system(SIMKA)で取り扱っていくそうです.

 

まとめると,民間病院と公立病院で違うsystemを使っていたがために,正しく情報が中央に伝わっていなかったということです.

民間病院の陽性者数が未処理なまま溜まっていたところ,急に中央に数字が吸い上げられて,”感染大爆発”となってしまいました.

Pandoraの箱が開かれるか?

Selangor州Datuk Seri Amirudin Shari知事は会見のなかで,"Preventing Outbreak at Ignition Site (POIS) programe"を発表しています.

簡単にいうと,「感染源となりそうな危ない工場や職場はしらみ潰しに検査する.検査に従わなかったり,感染情報を隠蔽するとすぐさま工場を閉鎖する.」という政策です.

 

具体的な実施時期には言及されていませんが,度重なる工場への立入検査を考えると,現場は大混乱です.

1人でも感染者がいれば,その工場,会社は即閉鎖です.連日,感染者数が爆発的に増えていることを見ると,感染者0の工場があると考える方が楽観的です.

 

むしろ,無症状者の感染者がPCR検査であぶり出されて陽性者数がより一層増えるだけのように思います.

Malaysai政府高官からは度々,「PCR検査で感染の連鎖を断ち切る,だから全員検査する」という論法が聞こえてきます.

 

Covid-19との戦いが始まって1年経ちますが,Malaysia政府のPCR検査への見解がこの程度だと思うと先が思いやられます.

2日連続の”感染爆発”の謎が残る

29日の陽性者数5,725名に引き続き,30日は新規陽性者数5,728名でした.

Selangor州内の感染者数だけでいうと,29日は3,126名,30日は3,285名.Selangor州の感染者数だけで,全体の57%を占めています.

 

29日は,過去の記録の未処理分でした.

30日の数字について,まだSelangor州から公式発表はありませんが,おそらく同じような未処理分の陽性者数が計上されているのではないかと推測します.

そうでないと,今の陽性率で計算される国内全体でPCR検査で検出できうる数を大きく超えていることになります.

MCO 2.0に向けられる疑問と不満

MCO 2.0の有効性については,私自身発令された後もずっと疑問に思っていました.

理由は,過去の感染源となった工場や建設現場などを封鎖せず,むしろ経済を優先するがために工場,建設の稼働を許可した点です.

 

学校は封鎖されて,ようやく一部生徒が学校に通い始めました.

しかし,学生の3人に1人はいまだにonline授業を受けられない環境にいて,今後中退の危険性が指摘されています.

 

中退をした子どもは将来,不安定な職に就かざるを得ず,貧困層の増加,治安の悪化など大きな禍根を残します.

 

奇しくもNajib前首相のMCO 2.0を”半熟”とする批判は的を得ています.

保健省,財務省の高官がすでにMCO 2.0は4週間で終了する(延長しない)という発言をしています.

2月1週目にはMCO 2.0が終了するのではないかと私は推測しています.

 

Najib前首相が言うように,MCO 2.0で過ごした4週間はいったい何の意味があったのでしょうか?

感染症対策は不十分,経済損失は甚大,国民生活は困窮.誰が得をしたのでしょうか?

まとめ

Malayia政府としては,感染症の受け入れ医療機関を拡大,無症状者の自宅隔離許可など良い対応もしています.

2020年の1回目のMCOは,経済と国民生活を犠牲にして,感染症の押さえ込みに成功しました.

 

しかし,”半熟”のMCO 2.0によって,経済,国民生活を犠牲にしたにもかかわらず,感染症対策でも失敗する形となってしまいました.

 

そして,Malaysiaには民主主義の危機に直面しています.

PCR検査主義から早く脱皮して,症状のある人に医療を向け,そして経済を回復させる方向に舵を切って欲しいです.

 
こにゃん
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こにゃん

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