本日2020年11月14日は,Hindu教のDiwali当日です.
ふとIndiaについて想いをはせると,意外にInidaの庶民の生活も知らないことが多いです.
Diwaliの夜に,しんみりと楽しめる大人のためのIndia恋愛映画『めぐり逢わせのお弁当』をおすすめします.
Indiaの引退間際の男性と,主婦のほろ苦い恋愛映画.
India庶民の生活も垣間見ることができます.
誰かを想って,夜な夜な手紙を書いたことはありますか?
手紙は相手に届くかどうか心配しながら,郵便箱に投函するドキドキを思い起こすことができます.
Diwaliの夜に電気を消して,しんみりと大人のほろ苦い恋愛映画をお楽しみください.
映画『めぐり逢わせのお弁当』について
映画『めぐり逢わせのお弁当(原題:Dabba,英語題:The Lunchbox)』は,2013年にIndiaで公開されたRitesh Batra監督による大人のための恋愛映画です.
2013年Cannes映画祭の国際評論家週間の上映に選出され,観客賞を受賞しています.同年,Tronto国際映画祭でも上映されています.
India国内の興行収入はINR 1.01 billion(日本円 約14億円)です.
Indiaの平均的な映画ticket代がINR 200(日本円 約290円)であるとすると,約4,800万人の観客を動員したことになります.
13億人を抱えるIndiaでは4,800万人は驚くべき人数ではないのかも知れませんが,日本人の感覚で言うと映画『千と千尋の神隠し』の観客数に匹敵すると思います.
映画には観客の注意を引くような派手なsceneはなく,大人のほろ苦い恋愛映画にも関わらずこれだけの興行実績があると言うことは,話の内容に共感する観客が多かったと言うことでしょう.
映画『めぐり合わせのお弁当』予告編
あらすじ
インドの大都会ムンバイでは、ダッバーワーラーと呼ばれる弁当配達人たちがランチタイムに弁当をオフィスに届けて回る。ある日、主婦のイラ(ニムラト・カウル)が心を込めて作った弁当が誤ってサージャン(イルファン・カーン)のもとに届く。イラは料理を通じて夫の愛を取り戻したいと願い、妻に先立たれたサージャンは久々の手料理の味に心動かされる。
妻に先立たれ,引退間近の男のもとに届けられるお弁当箱.
お弁当屋から届けられたお弁当だと勘違いをするが,やがてそれは宅配員の間違いによって偶然届けられたことに男は気付く.
お弁当を作っているのは都会Mumbaiに住む主婦.夫との心理距離は遠くばかり.
「お弁当に愛情を込めれば,夫婦仲はもとに戻る」
と言う叔母さんの言葉を信じて,主婦は毎朝お弁当を作り,宅配員へ愛情のこもったお弁当を託すが,夫ではなく別の男の元へ誤配達されていた.
お弁当箱に入れた手紙を通して,男と主婦の文通が始まる.
男は失った妻の面影を懐かしみながら,主婦の家庭環境を気にかける.主婦は,夫との関係に悩みながら,文通相手の男の優しさに惹かれていく.
映画『めぐり逢わせのお弁当』の感想
映画の結末を知りたくない方は読まないでください.
映画を見終わると,
何か起きて欲しいと思う一方で,何も起きなかったことに感謝している私がいました.
男は過去に,女は未来へと歩みを進めることを決断します.
顔を知らないにも関わらず紙を通じて,お互いを思いやる男女の姿には心が動かされます.
私が特に感動したのは,男が手紙の中で書いた次の文章です.
「私は妻とTVを習慣的に観ていた.妻がTV番組が好きでね.私は別に興味はなかったんだ.気づいたんだが,私は番組を観ていたんじゃない.TVの画面に反射して見える妻の顔を観ていたんだ.」
普段の生活の中に影として残る,亡くなった妻への愛情をうまく表現しています.
妻に先立たれた男を演じた,俳優Irrfan Kahnさん.
退職前の切ない中年男を演じ,先立たれた妻への哀愁,向かいの家の団欒を眺める切ない目,主婦に惹かれる気持ちに葛藤する心を名演技で表現されています.
この映画は,Irrfan Kahnさんなしにはあり得なかったでしょう.
Indiaの生んだ俳優Irrfan Kahnさんは,Hallywood映画でも活躍をされ多数の映画に出演されています.
出演作
- 『The Darjeeling Limited』
- 『Slumdog Millionaire』
- 『Life of Pi』
- 『Jurassic world』
2020年4月29日結腸感染症で死去されました.享年53歳です.ご冥福をお祈りします.
Havardも認めた配達Dabbawalaとは
映画『めぐり逢わせのお弁当』の原題は『Dabba』です.
「Dabba」は,金属製のお弁当箱です.暖かい食べ物を運ぶようの容器で,主に配達を目的として使用されます.
Dabbaを届ける配達員,配達system全体を「Dabbawala」と呼びます.
映画の中でお弁当箱の配達員は,見ず知らずの2人に引力を生み出す映画の動力となっているだけでなく,電車内の配達員の歌声は映画全体を通じた哀愁を与えてくれています.
Dabbawalaは,主に首都Mumbaiで発達し,家庭やrestaurantで作ったお弁当(dabba)を配達員の人が回収して,職場にいる人に届け,お弁当箱を回収して元の場所に送り帰るsystemです.
Dabbawalaは1890年に確立されて以来,130年以上の歴史を持っています.
Uber Eatsに代表される食の宅配serveiceが各国で近年急成長していますが,ずっと前にIndiaでは都市のsysetmとして,食の宅配serviceが確立していたのです!
朝9:00に家庭で回収されたお弁当箱は,自転車に乗った配達員によって回収され,電車の駅まで運ばれます.
配達先によって仕分け作業をこない電車に乗せられます.職場のお昼時間には届けられます.
そして,空のお弁当箱を回収して同じ日のうちに家庭に送り返されます.
YouTubeをご覧いただくと,dabbawalaの配達systemをご理解いただけると思います.
Harvard大学もdabbawalaを検証していますが,配送systemの正確さを驚異的に指摘しています.
→Harvard Business Review: Mumbai’s Models of Service Excellence
誤配送は,600万個に1個と言われています.
圧倒的に少ない誤配送率ですが,運用している人たちは必ずしも十分な教育を受けていない中で運用しているから驚きです.
メモ
- 1日200,000個のお弁当箱を宅配
- 配達員の中には文字が読めない人もいる
1組25人で構成された20組が多細胞的に配達systemを構成しています.
Dabbawalaの利用料はなんと1か月$7-$9とのことです.
競合相手がいるわけでもないのにこんな低額serviceを実現しており,競合がなかなか参入してきづらいようです.
まとめ
映画『めぐり逢わせお弁当(原題:Dabba)』は,大人のためのほろ苦い恋愛映画です.
手紙だからこそ,優しくなれる気持ちを思い起こしてくれます.俳優Irrfan Kahnさんの,妻を想う名演技に心打たれること間違いなしです.
Indiaの家庭生活の一面を知ることができますので,Indiaについて知るためにもおすすめの映画です.
Diwaliの夜,大人の恋に切なくときめくのはいかがでしょうか.