Malaysiaに住んでみた私が実際に住みやすいと感じたところを紹介します.
本記事では次のような疑問にお答えします.
Malaysiaの住みやすさに関する疑問
- Malaysiaは日本に比べて住みやすいところはどんなところ?
- 逆にMalaysiaで住みにくいところはどんなところ?
- 日本人はMalaysiaで長期滞在ビザを取得できる?
飛行機で7時間ほどで行ける一年中常夏の国Malaysiaは,日本人の移住先として常に人気の高いです.
私はMalaysiaで駐在員をして3年目を迎えます.日本に帰国する数週間を除いた300日以上をMalaysia現地で過ごしている私がMalaysiaの「住みやすさ」についてまとめました.
2020年にはMalaysiaで行われて都市封鎖(MCO,Movement Control Order)も経験していて,Malaysia生活の大変な時期も知っている私だからこそ書ける内容を本記事で書きました.
こんな方におすすめ
- Malaysiaへの移住を検討されている方
- Malaysiaへの駐在を予定している方
これからMalaysia移住,赴任,現地採用を検討されている方にとって,現地での生活について具体的なイメージを持ってもらえるお役に立てればと思います.
リタイア後の移住先として人気のMalaysia
一般財団法人ロングステイ財団によると,Malaysiaは14年連続で「ロングステイ希望国・地域」として第一位の座を得ています.
2019年ロングステイ希望国・地域
第1位 Malaysia
第2位 Thailand
第3位 Hawaii
「Malaysiaの物価は日本の3分の1」「Malaysiaの長期滞在ビザMM2Hを取得しやすい」などが人気の秘密と言われていますが,昨今は状況が一変しています.
どのようにMalaysiaが変わっているか,ぜひ記事の最後までお付き合いください.
Malaysiaの住みやすさの理由12選
日本人が引退した後に移住したい外国の国で常に人気を集めているMalaysia.
私がMalaysiaが住みやすいと感じる点は次になります.
Malaysiaの住みやすさ 12選
- 治安は比較的良い
- インフラが整っている
- 花粉症に悩まされない
- 英語が日常生活で通じる
- 配車サービスが安くて便利
- 生活費が日本よりも少し安い
- 年間を通して常夏,意外に涼しい
- 日本との行き来にかかる時間が少ない
- 金融所得に関して税制優遇を受けられる
- 外国人として疎外感を感じることが少ない
- 日本人向けの飲食店・小売店が充実している
- 住居は安くて,広くて,警備がしっかりしている
日本人にとってMalaysiaが住みやすい国である理由12選を一つずつ紹介していきます.
治安は比較的良い
Malaysiaが住みやすい理由1つ目は,「治安の良さ」です.
Malaysiaに3年住んでいますが,幸いにも今まで犯罪に巻き込まれたことはありません.
2019年時点の犯罪統計に関して,日本とMalaysiaを比較しました.
2019年 | 日本 | Malaysia |
殺人 | 950名 | 310名 |
強制性行 | 1,405名 | 1,738名 |
強盗 | 1,511名 | 9,729名 |
人口あたりの犯罪件数で見ると,客観的にはMalaysiaの方が治安は悪いということにはなります.ちなみに,Malaysiaの人口は約3,200万人で,日本の人口の約4分の1です.
ポイント
日本であろうが,Malaysiaであろうが,危ないところには近づかないということに気をつけていれば,犯罪に巻き込まれる可能性は主体的に下げることができます.
個人的な意見ですが,Malaysiaでは性産業が発達していないため,あまり怪しいおじさん・おばさんが少ないことが治安の良さの遠因であると思います.
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インフラが整っている
Malaysiaが住みやすい国である理由の2番目は「インフラが整っている」点です.
Malaysiaは発展途上国と言われていますが,電気・水・インターネット・道路のインフラはしっかりとしています.
停電は少ない
停電は私がMalaysiaに移住して3年間に一度もありません.
水道は脆弱
水道局は恒例行事のように3ヶ月に一度断水を発表しますが,私は断水したら仕方ないと割り切っています.
私の自宅は屋上の貯水庫のおかげで断水をしたことがありませんが,水質は悪いと感じることがしばしばあります.
インターネットは快適
インターネットは問題なくつながります.
道路はきちんと整備
道路については舗装がきちんとされています.
車が1時間に1mも進まないというような渋滞は起きることが少ないので,車で快適に生活することができます.
首都Kuala Lumpurであれば,電車・バスなどの公共交通機関も発達はしているので,車なしでも生活はできます.
地方都市では車移動が中心となるため,車がないと生活は多少不自由することになります.
もちろん配車サービスがあるので,自家用車が必須というわけではありません.
花粉症に悩まされない
Malaysiaが住みやすい理由の3つ目は「花粉症に悩まされない」ことです.
私はもともと花粉症になりかけていて,日本に住んでいるときは3月になると突如として鼻がムズムズとしてきました.
Malaysiaに住んでいる間は花粉症の悩みから解放されて,非常に清々しいです.
英語が日常生活で通じる
Malaysiaが住みやすい理由の4つ目は「英語が日常生活で通じる」ことです.
ポイント
Malaysia国内の都市圏,観光地であれば,英語だけで生活していくことができます.
Malaysiaの辺鄙な土地まで旅行したことがある私ですが,Malaysiaの場所により外国人旅行者比率が下がると,英語が話す人が少なる傾向にあります.
異なる民族同士でも英語で繋がる
Malaysiaは多民族国家で,国語であるMalay語の他に民族ごとの言語が話されます.
英語は民族をつなぐ橋のような役割をしていて,同じMalaysia人同士でも英語で会話していることをよくみかけます.
Malaysiaの民族ごとによく話される言語一覧を紹介します.
Malay語 | 英語 | 中国語 | Tamil語 | |
Malay系 | ◎ | ◯ | ||
華僑(Chinese) | ◎ | ◯ | ◯ | |
印僑(Indian) | ◎ | ◯ | ◯ |
表内の記号の意味は次になります.あくまで私個人の意見になります.
- 「◎」は高確率で話せる
- 「◯」は多くの場合通じる
- 「(空欄)」は話せるかどうか個人による
Malay語はアルファベット表記
文字の表記はアルファベットが中心で,街中のスーパーでは英語の表記が書かれています.
英語ができると自然に現地の生活に慣れることができます.
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外国生活で言語でつまずかないで,現地の人とすぐに打ち解けられる点は重要です.
配車サービスが安くて便利
Malaysiaが住みやすい理由の5つ目は,「配車サービスが安くて便利」という点です.
どんなに遅くまで外で食事していても,スマホ一つで車を呼べる「Grab」はとても便利です.
MalaysiaではMalaysia人創業者が作った配車アプリ「Grab」が主流です.
現在地をGPSで読み取って,目的地を入力すると,自動で近くのGrab運転手を予約してくれます.
Grab Superapp
Grab.com無料posted withアプリーチ
料金は安い上に,目的地までの距離に応じて料金が設定される透明性の高い配車システムなので,Malaysia生活ではなくてはならない存在です.
歓送迎会でお酒を飲んだ時に,どんなに夜が遅くなっても,Grabで車を呼ぶと片道RM 20(日本円 約540円)で帰ることができます.
ポイント
都市Kuala Lumpurは電車が比較的発達していますが,電車の乗り継ぎなどが不便ですので,近場の移動であればGrabで移動することが多いです.
2021年下半期以降,Grabの料金が高騰していて,しかも運転手を呼ぶのにも1時間待たなくてはいけないことが増えました.配車サービスの利便性が落ちてきています.
生活費が日本よりも少し安い
Malaysiaが住みやすい第6位の理由は,「生活費が日本よりも少し安い」ことです.
Malaysiaでの私の家計簿を実際に公開していますが,家賃を除くと,日本で暮らした場合の80%-90%くらいです.
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【2021年7月度版】マレーシア駐在員の生活費公開
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日本での生活と同じ質をMalaysiaで求めると,結果としてMalaysiaでの生活費の方が高くなることは忘れてはいけません.
ポイント
自分の中で生活の基準を下げられるメリハリが決まっている人はMalaysiaの生活費を抑えられます.
年間を通して常夏,意外に暑すぎない
Malaysiaの住みやすさの秘密も後半に入りました.理由の7つ目は「年間を通して常夏,意外に暑すぎない」ことです.
Malaysiaの首都Kuala Lumpurは北緯3度に位置しているため,一年を通して気温の変化が少ないです.平均最高気温は32-33度,平均最低気温は23-24度です.
いつでも気温が30度を超えていると聞くと,日本の夏のような残暑を思い浮かべるかもしれませんが,Malaysiaの”夏”は意外に快適です.
太陽が照りつけている時間帯はさすがに外で遊んでいるMalaysia人は見かけませんが,室内であれば風が涼しく.私は3年間家にいる時はエアコンなしで扇風機だけで生活しています.
1日に1回は定例行事のように突然雨が降り出しますが,15分ほど激しく雨が降ったかと思うとすぐに雨は止んで,止んだ後には涼しい空気が残ります.
ポイント
カラッとした湿度ではないのですが,ジメジメすることもなく,室内では快適に過ごすことができます.私の肌は乾燥に弱かったのですが,Malaysiaの湿度のおかげで乾燥肌に悩むことがなくなりました.
日本との行き来にかかる時間が少ない
Malaysiaが住みやすい8つ目は,「日本との行き来にかかる時間が少ない」ことです.
日本とMalaysiaを飛行機で移動すると片道は半日で移動ができます.半日で移動できることは体力的にとてもありがたいです.
海外移住した後も日本に3ヶ月に1度は帰りたいというのであれば,半日の移動距離は許容範囲です.
ポイント
半日で日本に帰国できるという地理的な有利さだけでなく,Malaysiaと日本の時差は1時間ですので移住後も日本とのやりとりがある方にとっては,Malaysiaは確実に有利な地理条件にあるといえます.
新型肺炎が蔓延したあとは隔離措置があり,思うように国をまたいだ移動がしづらくなりました.私も1年に1回,Malaysiaから日本に帰ることができれば御の字です.
金融所得に関して税制優遇を受けられる
Malaysiaが住みやすい理由の9つ目は,「金融所得に関して税制優遇を受けられる」ことが挙げられます.
株,投資信託,仮想通貨で得た金融所得に対してMalaysiaでは非課税となります.
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定期金利も2020年以前は年率3%近くあり,定期金利に対しても非課税であるため,定期預金で運用しているだけでも安定した金融所得を得ることができました.
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外国人としての疎外感を感じることが少ない
Malaysiaが住みやすい国である理由は残り3つとなりました.10つ目の理由は,「外国人として疎外感を感じることが少ない」点です.
世界中には多民族国家は数多くありますが,Malaysiaは多民族国家の中でも民族同士の軋轢が比較的少ない国です(と外国人の私には見えます).
Malaysiaのカレンダーには,Malaysia建国に関する祝日,国家宗教であるIslam教関連の祝日,華僑の旧正月,Hindu教の祝祭など民族ごとの文化を取り入れており,Malaysiaの多様性を反映しています.
「みんな一緒ではない」ということが前提にあるので,外国人としてMalaysiaに暮らしていても疎外感を感じることは少ないです.
Malaysiaが東方政策(Look East政策)による新日国であることを考慮しても,Malaysiaの方は日本人に親しみを持って接してくれます.
ポイント
Malaysia人同士も英語で会話をすることが多いため,日本人と英語で話すことに関して言語の障壁が低いことも大きな寄与をしています.
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日本人向けの飲食店・小売店が充実している
Malaysiaが住みやすい国である理由の11つ目は「日本人向けの飲食店・小売店が充実している」ことです.
Malaysiaの首都Kuala Lumpurで生活するのであれば,日本の食べ物,モノは比較的手に入りやすいです.
首都Kuala Lumpurには,日本百貨店の伊勢丹(Isetan)が営業しているので日本の食料品はもともと手に入りやすい環境でした.
さらに2021年3月にドンキホーテ一号店が開業したことで日本の食料品・モノ(低価格帯から,輸入果物,雑貨まで)を半日かけて飛行機に乗って買いに行かなくて良くなり,日本的なものが恋しい人にとって生活の質が格段に向上しました.
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Malaysia国内には2万人を超える日本人がいるので,日本料理のお店は充実しています.
高級寿司店から大衆居酒屋,ラーメン店まで選択肢は幅広くあります.
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ポイント
普段はMalaysiaの地元料理を食べていても,たまにはお寿司が食べたいなというときは休日のランチでふらっとお寿司屋に寄ったり,刺身を買って帰ったりしています.
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住宅は安くて,広くて,警備はしっかりとしている
Malaysiaが住みやすい国である理由の最後は「住宅が安くて,広くて,警備がしっかりしている」ことです.
家賃7万円を支払うと,首都Kuala Lumpurでも100平米の2LDKの高層階の部屋に住むことができます.
日本の東京で7万円の家賃だと6畳の1DKがせいぜいですが,同じ家賃でも4倍以上広い部屋に住むことができます.
賃貸が安いだけでなく,コンドミニアム(日本でいうところのマンション)住民は無料でプール・ジムが使えます.
Malaysiaでは安価に高層階に住むことができますが,単純に日本での高層マンションと比較はできません.Malaysiaの建築は素人の私が見ても「雑」です.それは地震が少ないので耐震要求が低いことが理由の一つです.
多くのコンドミニアム(日本でいうところのマンション)では,地上階に24時間在住の警備員が入り口を監視してくれています.さらに,エレベーターは住居の階でしか降りられないような警備がとられています.
反面 ,連れ込みによる不審者の侵入が抑えられている点は評価すべきです.
ポイント
日本の東京都内では月12万円払って駅15分の築30年の2LDK,50平米の部屋を借りれれば「御の字」であることを考えると,Malaysiaで同じ値段で100平米の新築2LDKの部屋を借りられることは住宅価格の格差を感じます.
Kuala Lumpurでおすすめの居住地については,次の記事をご参考ください.
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長期ビザMM2Hは富裕層向けになり取得困難
Malaysiaが住みやすい国であることを12個の理由をもとに説明しました.
巷では「Malaysiaは長期ビザが取得しやすい」ことが人気の秘密と言われていますが,Malaysiaの長期ビザMM2H(Malaysia My 2nd Home)取得条件は「改悪」されており一般の人には取得困難となっています.
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ポイント
長期滞在ビザMM2Hの新規条件では,例えば日本での収入120万円以上,Malaysiaへの定期預金3,000万円以上となっており,一般の人には満たすことが困難になっています.気軽にMalyasiaの長期ビザを取得することができなくなっています.
まとめ:Malaysiaは日本人にとって親しみやすく便利なところが多い
Malaysiaの首都Kuala Lumpurに3年住んでいる私が思う,Malaysiaの住みやすいところをまとめました.
Malaysiaの住みやすさ 12選
- 治安は比較的良い
- インフラが整っている
- 花粉症に悩まされない
- 英語が日常生活で通じる
- 配車サービスが安くて便利
- 生活費が日本よりも少し安い
- 年間を通して常夏,意外に涼しい
- 日本との行き来にかかる時間が少ない
- 金融所得に関して税制優遇を受けられる
- 外国人として疎外感を感じることが少ない
- 日本人向けの飲食店・小売店が充実している
- 住居は安くて,広くて,警備がしっかりしている
初めて海外に住まれるとしても,Malaysiaであればゆっくり馴染んでいける,そんな寛容な国です.
言葉の上での障害が少ないだけではなく,Malaysianの人は温厚な性格ですぐに打ち解けられます.
インフラ面でも基本的なところでは問題なく,快適に過ごすことができます.
かつてのように気軽に長期滞在ビザMM2Hは取得できなくなったため,今後Malaysiaの移住先の人気には翳りが出ると見込まれます.
もしMalaysiaへの移住に興味を持たれているならば,ぜひ1ヶ月の旅行でMalaysiaに滞在してご自身に現地の雰囲気が合うかどうかお試しください.
逆に,「Malaysiaに移住して後悔したことはある?」というご質問を友だちに聞かれることがありますが,私の答えは次の記事に書きました.
ぜひあわせてお読みください.
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【実体験】マレーシアに移住して後悔したこと 9つ | 悲惨な末路をたどる前にデメリットをおさえる
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タレントのGacktさんもMalaysiaに移住されています.GacktさんがYouTube番組で語った移住を決断した理由を解説した記事もあわせてご覧ください.
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【マレーシアに移住した芸能人】GACKT(ガクト)さんがマレーシアを語る | 移住地を選ぶ10の価値基準
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ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます.
「バイリンガール」として知られるYou Tuberの吉田ちかさんがMalaysiaのKuala Lumpurに4か月間のプチ移住を描いた本では,移住者から見たKuala Lumpurの様子が写真とともによくまとめられています.
これからMalaysiaに移住する人にとっておすすめの一冊です.