Malaysiaで自動車事故にあった時の対処法について解説します.
異国の地で交通事故に遭ったら,どう対処したらいいか不安ですよね?
本記事では,Malaysiaで事故に巻き込まれた際の対処法について解説します.
こんな方におすすめ
- Malaysiaに移住・駐在を予定されている方
- Malaysiaで旅行でレンタカーを利用予定の方
- Malaysiaでは車の運転をするけれど,運転に自信のない方
私はMalaysiaで駐在員をして3年目になります.不覚にも現地で自動車事故を2回経験しています.
日本でほとんど運転をしていなかっただけに,海外で事故に巻き込まれた時は不安に苛まれました.
本記事のポイント
- 車で事故にあった際は安全確保が第一優先
- 安全を確認した後は相手の運転免許書を写真にとる
- 示談に持ち込もうとする場合が多いけれど保険が無難
- 自分に非がある場合ば交通警察書でレポート作成と罰金徴収
前半では自動車事故に遭遇した場合の対応を解説して,後半では私の事故にあった経験をもとに日本人としてMalaysiaでどのように事故対応をしたか実例を紹介します.
この記事を読み終える頃には,Malaysiaで事故にあった場合に冷静に対処して事後対応にのぞむことができるようになります.
私の事故体験談を書きましたので最後まで読んでいただけると幸いです.
自動車事故が発生した時の対応
Malaysiaで自動車事故が発生した時の対応は次になります.
自動車事故の対処
- けが人の救助
- 車を安全な場所に移動
- 相手の運転免許証,身分証,車番号を撮影
- 周辺の状況を撮影して,目撃者を確認
- 警察署に行き事情聴取
- Police report(事故証明書)の発行
- 罰金の納付
- 保険会社への請求
相手の運転免許証をおさえる
事故が起きたら,安全な場所に車を移して,すぐに相手の運転免許証と車番号の写真をとってください.
警察で事情聴取を受けるときに,事故当時の状況を説明する必要がありますので,同時に車の衝突箇所,事故現場の道路も写真を撮っておきます.
事故の際に写真をとる点
- 相手の運転免許証
- 相手の車番号
- 車の衝突箇所(自分と相手の車)
- 事故現場の道路
重大事故は緊急ダイヤル,軽微な事故は当事者が警察署に行く
死傷者のいる重大な事故が発生した場合は,すぐに緊急ダイヤル「999」に電話します.
救急車・警察の個別の電話番号になっておらず,電話先の担当者が警察、消防などに該当の機関に接続します。
軽度な交通事故の場合は,警察を呼んで現場に来てもらうことはなく,事故関係者自ら警察署におもむく必要があります.
警察署の場所はGoogle map等で最も近所にある警察署を選んでください.
ポイント
重大な事故の時は,すぐに緊急ダイヤル「999」にかける.軽度の事故の場合は,事故当事者たちで警察署におもむく.
Police report(事故証明書)
警察署で事情聴取を行い,聴取内容をもとに作成したpolice report(事故証明書)が作成されます.
事故発生から24時間以内に警察署に行きpolice reportを作成しなくてはなりません.
Police reportが発行されて以降初めて,車保険会社の請求が行えるようになります.
警察署にて,警察官が事故関係者の話を聞いて,事故の責任を判断してpolice reportが発行されます.内容は全てMalay語で書かれます.
ポイント
Police reportはMalay語で作成される.証明書に署名をする前に,Malay語がわかる知人とWhatsAppで文章の写真を送り内容が間違いないか確認してもらう.
交通罰金の納付
事故の過失が自分にあると認められてしまった場合は,後日police reportを持って交通警察所に行き,罰金RM 300(日本円 約8,000円)を納付することになります.
事故当日に警察署で支払いをすることはありません.
事情聴取の後に別室に呼び出されて,罰金を納付する交通警察署の場所を教えられます.
私のときは,唐人街(China Town)近くの「Balai Polis Trafik Kuala Lumpur」に行くように指示されました.
Balai Polis Trafik窓口時間
- 月曜日-木曜日 9:00-14:00
- 金曜日 9:00-12:00
罰金の納付は現金・credit cardのどちらも受け付けていました.
罰金RM 300以外に,事務手数料RM 4を支払いました.
事故現場で示談で解決?
私がMalaysiaで事故を経験した時も相手からは示談を何度も持ちかけられました.
事故の現場ではもちろん示談の提案があり,私が頑固に「警察署で解決しよう」と返答しても,相手からは「警察署に行ったら,あなたの免許証は剥奪されるから示談に応じた方が合理的」の一点張りです.
軽微な事故の場合,いくつかの理由でMalaysiaの人は示談を提案してきます.
- 事故を一度起こすと,保険の更新時に(リスク評価の分)値上がる
- 修理費用の方が罰金RM 300よりも安いことがある
- 車の修理を出すにあたり,保険会社の手続きで時間がかかるので,車通勤をしている人は手っ取り早く修理代が欲しい
示談に応じるかどうかは任意ですが,個人間の費用処理でもめる可能性があります.
ポイント
自動車事故の責任が自分にあったとしても,罰金は上限RM 300の納付で済みます.法外な車修理費用を請求さえる可能性を考えると正当な手順でpolice reportを作成した方が良いと思います.
私の自動車事故体験
私が実際にMalaysiaで経験した車事故2件をご紹介します.
注意していても防げない場合があるので,ドライブ・レコーダーによる常日頃の対策が欠かせません.
私の事故体験①:当て逃げ
友だちがMalaysiaに遊びに来ていて,車でKuala Lumurの繁華街を案内しているときに,渋滞に巻き込まれてしまいました.
事故発生状況
T字交差点の中で渋滞してしまったときに,車右後方で急に「ガリッ」という音がしました.
後続の車がT字路を無理矢理右折しようとして,私の車の右後方を擦ってしまいました.
当て逃げで泣き寝入り
私は車を停めて,相手にも車から降りるように大声で伝えました.この時点で相手の車の写真は撮り証拠を確保しました.
相手の運転手は「交差点の真ん中で車を停められないので,100m先の車寄せまで移動しよう」と提案してきます.
相手の車番号は写真に撮りましたが,相手の運転免許証を確認しないまま,もう一度車に乗り込み指定された100m先まで車を移動しようとした矢先に相手の車は停まることなく走り逃げて行きました.
私は友だちを車に乗せていたので,車で追いかけることはせず,会社の配車担当に連絡をして状況を説明しました.
私の車右後方の塗装が少し剥がれた程度だったので,「警察には通報してもまともに調査してくれない」と配車担当に言われ,泣き寝入りすることとなりました.
2度目の事故
2度目の事故は私の過失となりました.
事故発生状況
T字路を右折するときに渋滞に巻き込まれてしまい,右折できないまま私の車が向かい車線をふさいでしまいました.
クラクションを鳴らされて,とっさに後進をして交差点内から抜け出そうとしました.
バックミラーで真後ろに車がいないことを確認して後進をしようとすると,私の車後方を無理やりすり抜けていた車と後進をしながら衝突してしまいました.
相手の車は停止しており,私の車の後進での衝突でしたので衝撃は少なく,相手の運転手も私も幸い怪我はありませんでした.
相手の車の前方は大きく凹んでいましたが,私の車には傷すらなく不思議な感じがしました.
温厚そうな相手の運転手
衝突した車から降りてきたのは2人でした.
怒鳴られたたらどうしようと不安が頭の中にありましたが,車から降りた2人は温厚そうな人たちでした.
2人とも華僑で30代の男性と女性でした.男性は目つきははっきりしていますがおっとり系で,女性はしっかりものという雰囲気でした.
示談を持ちかけられる
お互いの運転免許書と車番号を写真撮影して,警察署に行こうという話をすると相手はしきりに示談を持ちかけてきます.
温厚そうで正直そうな見た目とは裏腹に,示談を持ちかけて騙そうとしているのかと疑いの目で見るようになりました.
事故の後日,会社の同僚に聞いたところ「示談で修理金を貰えば,数日で車を修理できる.もし保険会社を通して修理金を精算すると,数週間かかってしまうので,保険会社を経由せずに示談を持ちかける人が多い.」というのが示談を持ちかける事情のようです.
警察署の前でも最後の示談提案
事故現場には警察は来てくれず,事故の関係者で一緒に警察署に向かう必要があります.
警察署に向かうまで,それぞれ自分の車で運転して行きましたが,警察署に向かうまでに逃げる人もいるのではないかと思いました.
「警察署に行くからさ」と体裁を繕って,逃げられても追いかけられないような気がします.実際に私は当て逃げの被害を経験しています.
警察署に着いた時点で夜8時過ぎです.
警察署に入る直前にも,事故相手は示談を再度示唆してきます.
「あなたは右折禁止の場所で右折したのだから,警察署で運転免許書を没収される.示談に応じるなら最後の機会だ.」と脅しのようなことを言ってきます.
私の車は保険に入っているので,あえて示談で解決する必要もなく,運転免許書の没収の脅しはハッタリだと思ったので,警察署で事情聴取をする決意は変わりませんでした.
警察署での事情聴取
警察署に入ると,透明なアクリル板が建てられて窓口が3つあり,向かいには警察官が3人座っています.
警察署に入った時には,全ての窓口が埋まっていました.
30分ほど待合でまち,窓口が空くと私たちの事故陳述が始まりました.
アクリル板の向こうの警察官はマスクを顎にかけており,「国民のSOP(衛生行動遵守規則)を取り締まるはずの警察官が遵守しなくていいの?」と心の中でため息をしました.
言葉の壁で不利な立場
警察官は英語が話せないためMalay語でpolice report作成のための事情聴取が行われました.予想していた悪い展開となりました
私は3年間Malaysiaに赴任していますが,ろくにMalay語が話せません.
事故相手の男性が,警察官(Malay語)と私(英語)の間の通訳となりました.
相手の運転手は見た目は良い人そうなので,私の口述内容を悪く曲解して警察官に伝えることはないだろうという勘はありましたが,警戒心は一気に高まります.
警察官と事故相手の人がMalay語で事故のあった時の状況を話しているようですが,私は全く会話が理解できません.
警察官と相手の運転手が話を終えたときには,私が100%悪いということで話がついているようでした.
私も運転でちょっと無理はしたかなと思わなくもないですが,弁解の余地もなく一方的に黒に仕立て上げられると情けなくなりました.
Police report作成
30分くらい口述が終わると,警察官がPCの画面に陳述書をまとめます.
アクリル板越しに私たちの方を向けられているmonitorに陳述内容が表示されます.そして,全てMalay語で書かれているので私には読めません.
全く内容のわからない陳述書に署名をするわけにもいかないので,急いで陳述書の写真を撮って同僚に送り内容を確認してもらいます.
同僚からはしばらくすると返信があり,概ね事故状況は私の認識通りでしたのでそのまま署名をしました.
署名を終えると,police reportが発行されます.
私の運転証明書を差し出し登録をされましたが,運転免許の没収はありませんでした.やはり警察署に入る前の事故相手の脅しはブラフでした.
別室の強面警官
Police reportへの署名を終えると,別室に行きなさいと指示されます.
部屋の外で待つこと5分.呼び出しがないので,変だなと思いドアを叩くと,50代の強面の警察官が怖い顔をして「なんでドアを叩くんだ,待ってたら呼ぶから.」と言ってきました.
15分経つと,ようやく部屋に呼ばれました.
部屋に入ると強面の警察官が入ってくる私を凝視しています.今は亡き,いかりや長介さんを彷彿とさせる雰囲気でした.
強面の警察官に怒鳴られるかとビクビクしていると,いきなり「日本人か?」と笑顔で話しかけられて緊張が一気に消えました.
強面の警察官は始終ずっとマスクをしていませんでした.やれやれと思いました.
警察官の目の前の壁にあるTVがついておりサッカーの試合が放映されていて,警察の仕事中にサッカー観戦をしていたんだとわかると,怒鳴り散らかされるという恐怖は一気に後退して行きました.
この場で,罰金の納付方法と納付場所の説明を受けます.
罰金RM 300
RM 300(日本円 約8,000円)の罰金を払うことになりました.
罰金の交渉をしようとしましたが,「システムで交通違反の記録がされてしており,罰金の変更は私にはできない」と取り繕うしまもなしです.
罰金の交渉に応じないための口実なのか,本当にそうなのかはわかりません.
罰金の納付は後日,交通警察署に行かなくてはならないため,当日の警察官が罰金を”失敬”することはできないので,交渉する意味がないのかもしれません.
事故車の撮影
約30分の別室面談を終えると,「外に出て写真をとるぞ」と言われて,カメラを持って片足を引きずった新しい警察官が出てきました.
「ついに私も警察で顔写真を撮られる」とビックとしながら,一緒に外に歩いて行きます.
どこに行くんだろうと不思議がっていると,カメラを首からぶら下げた警察官は「お前の車はどこだ?」と聞いてきます.
ようやく,私の写真ではなく,車の写真を撮るのかと肩透かしに合います.
車の写真撮影が終わると解放されて,police reportを持って自分の車で運転して帰りました.
家についてのは日付が変わる1時間前でした.
事故の数日後に,指定された交通警察書に出向き罰金RM 300の納付を行いました.その後の相手の車の修理代請求は保険会社が処理をしてくれました.
対策:ドラレコで万が一の事故に備える
Malaysiaで事故を起こすと,Malaysia警察官に事故事情を説明して,事故の処理をしなくてはなりません.
警察官はMalaysia人です.私の主観ですが90%はMalay系で,話したことのある警察官の90%は英語を話せずMalay語のみを話します.
自分は日本人でMalay語を使って警察官に事情説明はできないけれど,相手の運転手は母国語のMalay語で流暢に現場説明をします.
Malaysiaで事故を起こすと,Malay語で警察官と相手の運転手が打ち解けているのを固唾を飲んで見守らなくてはならない場面に引きずり込まれます.
異国の地で,言葉が通じない警察官を手振りで説得することは難しいので,客観的な記録としてドライブ・レコーダーの録画があると有利です.
Malaysia国内でもドライブ・レコーダーは普及していて,実用性が認知されています.
ポイント
自分が事故に遭ったときに証拠として運転の動画を提供できるように,ドライブ・レコーダーは持っているだけで国外での運転も安心です.
まとめ:自動車事故にあったら安全確保して,相手の運転免許証を写真に取る
Malaysiaで事故に遭った場合の対処法を紹介しました.
自動車事故の対処
- けが人の救助
- 車を安全な場所に移動
- 相手の運転免許証,身分証,車番号を撮影
- 周辺の状況を撮影して,目撃者を確認
- 警察署に行き事情聴取
- Police report(事故証明書)の発行
- 罰金の納付
- 保険会社への請求
異国の地で事故に巻き込まれた場合は慌てずに客観的な証拠となる,現場の状況を写真で撮ってください.
できればドライブ・レコーダーによる録画映像があると,警察署での事情聴取において有利な証拠として活用できます.
ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます.
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