マレーシア 医療逼迫 崩壊 救急車 ICU

マレーシア生活

マレーシア医療体制逼迫から崩壊へ,命の選択が始まっている

2021年8月6日

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こにゃん
こんにちは,こにゃん(@こにゃん)です.

 

私はMalaysiaに3年住んで仕事をしています.

 

武漢肺炎の感染拡大を抑えるために2020年3月以降,Malaysiaは断続的に都市封鎖しています.

 

感染状況が改善した時に制限は緩められたのですが,2021年5月以降,感染が急拡大したことを受けて再度都市封鎖が行われて,2020年初期と同じような厳しい行動制限が課せられ,さらに今回の方が都市封鎖の期間も長くなっています.

 

私はもともとMalaysiaで仕事をしており,疫病にMalaysiaがさいなまれる前から現在までMalaysiaに滞留しており,Malaysia政府の感染症対策の変遷の一部始終を身をもって体験しています.

 

 

変異株の大流行により,最も恐れていた医療施設の逼迫が確実に起きています.

 

本記事では,2021年8月時点のMalaysiaの医療体制についての情報をまとめました.

 

Malaysiaの医療逼迫は危険水準に

 

2021年7月には急拡大する新型肺炎の感染状況を受けて,Malaysia保健省は医療体制が崩壊する可能性があると警告を出しました.

 

7月初旬の段階で,保健省のNoor Hisham局長は,Malaysiaの首都圏(Kuala Lumpur,Selangor州)の医療体制がすでに受け入れ限度を超えていると発表します.

Malay Mail: Malaysia’s healthcare system at high risk of paralysis, Dr Noor Hisham warns as Covid-19 cases exceed hospital capacity in KL, Selangor, Negri Sembilan and Labuan

 

保健省は,首都圏にあるいくつかの病院をCovid-19専用病院にしていすると発表していました.112の私立病院の協力により,首都圏でのCovid-19専用病床の確保を急いでいます.

 

一方で,Covid-19以外の患者に関しては私立病院に転院してもらうことで,Covid-19患者の病床を確保することになっています.

 

さらに,化学・生物兵器で国内が攻撃された際の避難所の地下駐車場に,重症患者用のICU病床を50床用意しています.

 

避難所にある電気設備・酸素吸入装置を活用する医療関係者の柔軟な対応に敬服する一方で,一般病院だけでは肺炎患者を収容できなくなっている現実を如実に物語っています.

 

 

警告が出された7月から1ヶ月も経過しないうちに状況はさらに悪化して,8月時点では命の選択が行わなくてはいけないような医療の逼迫状況となっています.

 

ICU病床使用率は100%越え

 

2021年7月22日から28日におけるICU(集中治療室)の使用率が,首都圏では100%を超えていることをMalaysia保健省は発表しています.

NNA: ICU病床使用率100%超え 首都圏などで医療体制逼迫

 

首都Kuala LumpurのICU病床使用率は121%となっています.人口が最も多い首都近郊のSelangor州にはICU病床が401床ありますが,使用率は既に150%に達していると報じられています.

 

一般の病床使用率も,Kuala Lumpurで70%,Selangor州で90%ととなっており,医療制が逼迫が理由で症状の重大さに関わらず患者が受け入れられなくなってきています.

 

人口の集中する首都圏では,Malaysia国内の50%近い陽性者数が報告されています.

 

一方で首都圏のICU病床の空きは無くなっており,治療が必要な人が治療を受けられない過酷な現実になっていることが数字から分かります.

 

こにゃん
最も恐れていた「命の選択」を行わなくてはいけないような状況になりつつある,もしくは既にそのような状況になっていると思われます.

 

受け入れ病床がない!真夜中の救急車

 

Malaysia医療に関するjournal『CodeBlue』に掲載された記事が,2021年8月時点のMalaysia首都圏の医療逼迫もしくは,筆者の言葉を借りれば,医療崩壊の現実を深刻に伝えてくれます.

CodeBlue: Subang, Our Health Care System Has Collapsed — Michelle Ng

 

5分ほどで読める記事なので,ぜひ上のリンクからご覧ください.途中,新型肺炎患者の方が話す会話文がMalay語となっているので,ぜひGoogle翻訳を使って生の声を読んでみてください.

 

記事の筆者Michelle Ng(黄美诗)さんは,Subang Jayaの議員です.

 

記事は,Michelleさんのもとに地元の人から助けを求める電話が鳴るところから始まります.

 

夜の22:30ごろにMichelle Ngさんの選挙区であるSubangの低所得者向け住宅地に住む女性からMichelleさんに助けを求める電話があります.

 

「申し訳ないのだけど,何とか助けてください.呼吸ができなくて,吐いてる住民がいます.死にそうだと言っています.999に電話して救急車を夕方18:00から呼んでいますが,救急車が来てくれません.999に電話しても,むしろ自分たちで病院に患者を届けるように言われてしまいます.」

 

議員はSubang Jayaの緊急救急車に電話します.患者を病院に運んでくれるように必死に頼みます.

 

そして,緊急救急隊員の人は答えます.「もちろん最善は尽くすけど,きっと病院は私たちをたらい回しにするよ.だって病床に空きがないのだから.」そこで電話を切ります.

 

Michelleさんは助手のHenryさんに深夜電話をして起こして,知っている私立の救急外来に電話を片っぱしからかけるように指示します.

 

Michelleさんは知り合いの病院に電話をかけますが,その病院は救急搬送しか受け入れていません.さらに悪いことに救急車6台は全て患者を搬送するために出払っており,6台すべての救急車がそれぞれ3人の患者を搬送まで待機されているとのことでした.

 

議員は緊急退院の人が謝らざるを得ないほど逼迫している医療体制に対して憤りを表しています.

 

その後,感染した女性は無事病院に運び込まれるのですが,どのようにして病院が見つかったかなどの詳細は,続きはMichelleの書かれた記事をお読みください.

CodeBlue: Subang, Our Health Care System Has Collapsed — Michelle Ng

 

こにゃん
翌日の朝までかかってCovid-19に感染した女性の病床を見つけ出した議員の手記を読むと,Malaysia首都圏において「治療な必要な患者が病床に入れない」過酷な現状に背中が寒くなります.

 

Malaysia国内で急増する感染症による死亡者数

次のグラフは,Malaysiaの感染症による死亡者数の推移を表していますが,医療体制が限界を迎えているかのように死亡者数の増加が続いています.

 

マレーシア Covid-19 死亡者数 1週間平均

 

同僚の叔父さんが感染症で入院後に亡くなられています.

 

2020年であれば,「知り合いの知り合いに陽性者がいるかどうか」という感染状況でしたが,2021年8月時点では「知り合いの知り合いに感染症で亡くなられた方がいるかどうか」という状況まで悪化しています.

 

2021年8月8日には,過去最高の1日あたりの感染症による死亡者数360名を記録しました.

 

KKM 死亡者数 統計 8月8日

引用:KKM

 

Malaysiaの人口が3,200万人ほどですので,日本の人口で同様の死亡率だとすると1,500名ほどの死亡者数になります.

 

注目すべきは360名の死亡者のうち,約4分の1は病院に到着した時点で亡くなられていたということです.

 

  • 240名は入院中に死亡確認
  • 85名は病院に運ばれたときに死亡確認

 

軽症者は自宅隔離へ切り替えた政策の影響もあるとは思いますが,いずれにしても医療体制に余裕がなくなっていることが根本にはあると考えられます.

 

まとめ:ワクチン接種の加速をして最善を尽くすも,感染症に怯える国内の雰囲気

 

まMalaysia国内ではワクチン接種を加速させており,3,200万人の人口に対して1日あたり50万回に近いワクチン接種を行なっています.

 

 

Asia諸国と比べても,1日あたりのワクチン接種回数は多く,ワクチン接種こそが感染拡大を止めるための手段であることを政府も国民も強く認識しており接種計画は予想よりも進んでいます.

 

ワクチン接種は確実に進んでいて,大部分の国民は家に閉じこもる生活を2ヶ月以上も強いられているにも関わらず,変異株の登場により感染拡大が止まりません.

 

そして,身近に感染症による死亡事例を聞くことになります.

 

隣にいる人は陽性者であったとしても,もう驚きませんし,むしろ自分も含めてみんな陽性者だという仮定のもとに衛生対策をしています.

 

同僚とonlineと世間話をするときも感染拡大に対する緊張感が伝わってきます.

 

私自身は3ヶ月以上も自宅で仕事をしており,人との接触は最低限に抑えています.家で仕事をしているせいか,日中の救急車の音をよく聞くようになり,感染症の患者が運ばれているかもと想像すると暗い気分になります.

 

 

これからMalaysiaから日本に帰国を計画されている方は,Malaysiaに再入国時の隔離についてまとめた記事もあわせてご覧いただき,帰国の準備にお役立てください.

 

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ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます.

 

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こにゃん
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