Hari Rayaを直前に控えた2021年5月4日(火)と5月5日(水)2日連続で,Malaysia政府Ismail Sabri上級大臣は行動制限令MCO 3.0を発表しました.
1日あたりの新規陽性者数が急増にしたがい,医療病床数も逼迫しています.Hari Rayaを前にした更なる感染拡大を恐れた政府の急な対応策をこの記事では紹介します.
Malaysiaの首都Kuala Lumpur在住者である私の意見も書きました.
この記事は,次のような方にお役に立てるように書いています.
こんな方におすすめ
- Malaysiaにお住まいの方
この記事の内容は次になります.
こんな方におすすめ
- Hari Raya直前にした急転直下のMCO 3.0発令
- Hari Rayaの祝祭を実質認めており,MCO 3.0は2週間では終わらない?
まずはSelangor州6地区でMCO 3.0
2021年4月中旬以降,1週間平均でみた時の1日あたりの新規陽性者数は週ごとに500名増えていきました.
5月になると1週間平均で1日あたりの新規陽性者数は3,000人を超えており,1月にMCO 2.0が発令された時と同じ感染状況となっています.
さらに,2021年5月中旬はHari Rayaのお祝いがあり,人々の移動が活発化して,接触機会も増えることが見込まれています.
IndiaのModi首相が宗教祝祭を認めたことで結果的に感染拡大を全国で招いたといわれています。
MalaysiaのMuhyiddin首相は、Islam教最大の祝日Hari Rayaを制限するのでしょうか?
同じ轍を踏みたくはないとMalaysiaの首相も思っているでしょうが、開催を制限すれば批判は避けられず難しい立場。
— こにゃん 🇲🇾 マレーシア再入国 (@Konyan_blogger) May 4, 2021
そして,MalaysiaのIsmail Sabri上級大臣は2021年5月4日(火)の会見で,Selangor州6地区でMCO(行動制限令,Movement Control Order)を発令することを発表しました.
→FMT: MCO in 6 districts in Selangor
対象期間
5月6日(木)から5月17日(月)の12日間
12日間で無事にMCOが終了すると考えているSelangor州住民は少ないと思います.
今回はHari Rayaの長期休暇があります.人と人が接触する機会が多い宗教関連の行事ですので,今までのMCO期間を参考にしても12日間でMCO 3.0が終わるとは考えづらいです.
対象地域
Selangor州内の6つの地域がMCO地域に指定されました.
Selangor州MCO対象地域
- Hulu Langat
- Petaling
- Gombak
- Klang
- Kuala Langat
- Sepang
Selangor州内の残りの3地域については,MCO対象とはなっておらず,CMCO(条件付き行動制限令,Conditional Movement Order)を継続します.
見出し(全角15文字)
- Kuala Selangor
- Sabak Bernam
- Ulu Selangor
5月4日(火)時点の政府発表では,MCO 3.0の対象地域は,Selangor州の一部地域だけでした.
MCO 3.0の対象地区は,地区内でのみ移動が許可されるという性格を考えると,Kuala Lumpur住民,およびSelangor州のMCO対象地域でない地域の住民も実質上の移動制限がかかります.
下の地図を見ていただけば一目瞭然ですが,Kuala Lumpurは,ドーナッツの穴のように,MCO 3.0の対象地域の間にあいた陸の浮島になっています.
引用:Malay Mail
人口が密集する上に,陽性者数も多い首都Kuala LumpurのみをMCO 3.0の対象地域外にしたことに疑問がありました.
後述しますが,もちろん世の中甘くはありませんでした.
Selangor州政府が国に申し入れをして,国が州の意向を聞き入れたことでSelangor州の一部地域でMCO 3.0が発令されたことになったと言われています.
Selangor州は工場が密集しており,かつては外国人労働者の寮による感染が問題となりました.
現在は外国人寮という特殊な場所から,一般市民の生活空間まで病原菌は広がっています.
今後は,Selangor州全体で集団PCR検査を行って,未症状者も含めて病原菌の保有者を洗い出そうとしています.
Selangor州で集団PCR検査実施へ。
5月8日から6月10日の間で,集団PCR検査を行うことをSelangor州政府が発表。
Selangor州政府は,以前から集団検査を信仰しているという印象。PCR検査に当てる医療的労働資源を,ワクチン接種にいかした方が良いのでは。https://t.co/wFYaBXcJIv
— こにゃん 🇲🇾 マレーシア再入国 (@Konyan_blogger) May 4, 2021
2021年5月からようやくAstraZeneca製のワクチンを一般市民(第3段階対象者)に打ち始めました.
しかし,まだワクチンの接種率はMalaysia人口の2%にも到達していません.
ワクチン接種がまだ普及していないもどかしい状況ではありますが,果たして病原菌が市中に広く蔓延しており,人の動きがある中で集団PCR検査を今行う必要があるかには私は疑問を感じています.
翌日,Kuala LumpurもMCO 3.0の対象地域に指定
5月4日(火)の政府発表でSelangorの一部地域がMCO 3.0に指定されたことを紹介しました.
MCO 3.0地域の中で浮島になっている,Kuala Lumpurが対象地域になっていないことに疑問を感じている人が多かったです.
国民の疑問の声を聞いたためか,突如として翌日5月5日(水)の夕方,Ismail Sabri上級大臣はKuala Lumpurを含むいくつかの都市でMCO 3.0を追加で発令することを会見で発表しました.
MCO 3.0の対象追加地域
5月5日(水)の会見における,MCO 3.0の対象追加地域は,
MCO 3.0対象地域
- Kuala Lumpur
- Johor州の一部地域(Johor Bahruを含む)
- Perak州の一部地域
もともと政府のMCO 3.0発表は5月2日(日)だと内部情報が伝えられていましたが,結果5月4日(火)まで2日間遅れてSelangor州一部地域のMCO発表となりました.
政府内部でも意見が割れて調整をした上で出てきた結論が,5月4日のSelangor州におけるMCOでした.これで最終結論だと思いきや,まさかの翌日5月5日(水)になり対象地区を追加ということに驚きました.
今回は政府内の意見統一ができていないことが如実に現れました.関係省庁との調整もできていませんでしたし,前日の発表内容を変えたり,対象地域を修正したり,国民泣かせです.
MCO 3.0対象追加の対象期間
5月7日(木)から5月20日(木)の14日間
唯一の救いは,MCO 3.0が発令される直前の4月末にSelangor州に小旅行で遊びに行けたことです.
海外赴任者にとって,長期休暇は近隣諸国へ旅行に行く楽しみがあります.
武漢肺炎により,旅行の楽しみも奪われて,1人寂しく海外の自宅で長期休暇を過ごすことほど駐在者にとって悲しいことはありません.
前日に発表されたSelangor州に対するMCO 3.0よりも1日遅れての発令のため,開始日時が1日遅いです.
しかし,なぜか期間は追加された方が2日長いです.いずれにしても,MCOはほぼ確実に延長されますので,その時に時期等は地域ごとに調整されていくと思います.
MCO 3.0のSOP
MCO 3.0のSOP(Standard Operation Procedure)の日本語版は,日本国大使館が提供しています.
→在マレーシア日本国大使館 感染症予防管理法に基づく「活動制限令(MCO)」地域における規制 (2021年3月5日以降適用)(2021年5月6日更新)
重要な項目を列挙します.
MCO 3.0のSOP
- 経済分野については,ほぼ全ての分野で企業活動を認める
- 飲食店は朝6時から深夜まで営業可能,ただし店内飲食は禁止
- 生鮮食品市場は朝6時から午後2時まで
- 生活用品店,薬局,給油所は朝6時から午後10時まで営業が可能(ただし高速道路沿いの給油所は24時間営業可能)
- 社会活動は禁止
- MCO対象区域内の移動のみ許可,区域外の移動は警察署の許可証が必要
MCO 3.0発表直前まで,政府内部で協議する時間がありましたが,肝心のSOPは会見当日発表されずに翌日以降の発表となります.
今回は,さらに国家安全委員会(NSC)と関係各省との事前調整ができていなかったために,学校や民間企業に対するSOPがMCO発令直前まで発表されませんでした.
「民間企業のWFH(在宅勤務)と学校閉鎖は、通産省と教育省がそれぞれ発表予定です」
とIsmail Sabri大臣は会見で言ったみたいだけど、事前に省庁間の意見合わせてから会見にのぞんでほしい。
感染症対策を中心に仕事してる割には、発表締め切りをずるずる伸ばして、肝心のところは決めてないとは。
— こにゃん 🇲🇾 マレーシア再入国 (@Konyan_blogger) May 4, 2021
結果的に,Selangor州でMCO 3.0が発令される前日5月5日(水)になり,学校と民間企業に対するSOPが発表されました.
MCO 3.0のSOP(追加)
- 学校は5月6日,7日を休校にする
- 民間企業の管理職は人数を30%上限として出勤可能,管理職以外は会社規則に従う
民間企業は政府指示を待たずして,社員を一旦在宅勤務にする判断もできます.
しかし,学校の場合,Hari Raya休暇直前の準備等もあり,いきなり休校にすることも難しく,ましてや公立学校は独自で休校を判断はできません.
現場を混乱させるような政府の優柔不断さが目立ちました.
RamadanおよびHari Rayaの行事に関しては,制限が設けられることになりましたが,規模を縮小して行うことを認められています.
Ramadan Bazaarに関しては,Selangor州では5月8日以降開催が禁止されることになりました.Kuala Lumpurでは,SOP厳守の上であれば開催が認められています.
2020年はHari Raya関連行事が全て中止となっているために,2021年は少なからず祝祭を認めざるをえなかったという政府の難しい立場がみえてきます.
Hari Raya明け後の感染状況をみつつ,MCO 3.0の延長可否が政府内で議論されることが予想されます.
日常生活への影響が大きいMCOですが,思いのほかHari Raya祝祭の制限は緩めでした.
悲観的になるつもりはありませんが,2週間後にあまり事態は改善しているようには思えません.
注意
在マレーシア日本大使館より,最新のSOPを日本語でご確認していただけます.
まとめ
2020年3月以降,Malaysiaの首都圏Klang ValleyでMCOが発令されるのは3回目となりました.
特に今回はHari RayaというIslam教にとって重要な祝祭が間近に控えているために,政府としては感染状況を抑え込む必要がありました.
私は,Hari Raya関連行事の制限は厳しくない一方で,店内飲食禁止や地域内のみの移動など,市民生活に大きな制限を課されたことに不満を感じています.
感染予防の観点から,本当に効果的な政策を講じて欲しいなと感じます.
最後に話は変わりますが,Indiaの感染爆増を受けて,Malaysia政府はIndiaを出発国とする人の入国を禁止しています.
さらに,追加でいくつかの国からの入国を禁止することを発表しています.
Malaysia への入国禁止listが更新されました。Indiaに加えて、今回追加となった国は、
・Sri Lanka,
・Bangladesh
・Pakistan
・Nepal上の国の中には出稼ぎ労働者の多い国もあり、今後のMalaysia国内労働力にも影響が出そうです。
いつ日本が入国禁止対象国になることやら心配。 https://t.co/BIExeVVah7
— こにゃん 🇲🇾 マレーシア再入国 (@Konyan_blogger) May 5, 2021
日本も入国禁止国になりはしないかと緊張をしています.日本への一時帰国を考えられている際は,改めてMalaysia政府の発表をご確認ください.
私も日本に帰国することを考えている方に役立つように情報発信をしていこうと思いますので,今後もblog記事をご覧いただければ幸いです.
ここまで記事をお読みいただきありがとうございます.
最後に日本にいても,海外にいても気軽にonlineで英語学習ができる『レアジョブ』がおすすめさせてください.
レアジョブなら1回レッスンが142円とコーヒー一杯分の値段で,将来に向けた自己投資ができます.
私も5年間以上レアジョブで英語学習を続けて,Malaysia駐在の機会を得ることができました.自己投資こそ,将来の収入を増やす王道だと思います.
上記リンクからたった10分ほどの登録で,無料のお試し授業を受けられます.ぜひお試しください