Malaysiaは移住先として人気の国ですが,Malaysiaで仕事をして働くメリット・デメリットについて気になりませんか?
本記事は次の疑問にお答えするように書きました.
Malaysiaで働くことに関する疑問
- 海外で仕事をしたいけど,Malaysiaで働くメリットは?
- 逆に,Malaysiaで働くデメリットは何がありますか?
- Malaysiaで海外就職するにはどうしたらいい?
Malaysiaで仕事をする良いところはたくさんありますが,いざMalaysiaに行ってみて「思っていた通りでない」と後悔しないようにMalaysiaで働く長所・短所を知っておいた方が良いです.
本記事は次のような方におすすめです.
こんな方におすすめ
- 将来,どこかの国で海外就職を考えている方
- Malaysiaに移住してみたい方
- Malaysiaに駐在予定の方
私は新卒で日系企業に入社して,その後にMalyasiaに派遣されて3年目となります.
留学経験もない私が初めてMalaysiaでの海外仕事となりました.すべてが順調ではありませんでしたが,貴重な仕事の経験をMalaysiaですることができています.
本記事の内容は次になります.
本記事のポイント
- Malysiaで海外就職するか,駐在員として派遣されるかの選択肢
- 世界の都市の中でのKuala Lumpurの働きやすさランキング
- Malaysiaで働くことの良いところ
- Malaysiaで働くことの悪いところ
私がMalaysiaで3年間働いて学んだことも書きます.ぜひ最後まで本記事を読んでいただけると幸いです.
Malaysiaで働くには
Malaysiaで働くには様々な働き方があります.
- 海外駐在員として日本からMalaysia法人に派遣される
- Malaysiaの企業で直接雇用される(現地採用)
- Malaysiaで起業をする
Malaysiaで働く多くの日本人は,駐在員もしくは現地採用者として日系企業のMalaysia法人で働いています.
Malaysiaに進出する日系企業
外務省の調査では,2020年時点で1,230社の日系企業がMalaysiaに進出しています.そのうち,最も多い企業数が多い業界は下の表をご参考ください.
業種 | 企業数 | |
第1位 | 製造業 | 624社 |
第2位 | 卸売業・小売業 | 200社 |
第3位 | サービス業 | 103社 |
日系企業は多くMalaysiaに進出しており,その中でも製造業の企業数が最も多いです.Malaysia求人を見ても,日系の製造会社の求人が目立ちます.
Malaysia現地法人で駐在員となる
駐在員となりMalaysiaの現地法人で働く道があります.
駐在員になることは戦略を持って努力すれば実現可能です.
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しかしどの国にいつ駐在をするかは会社の意向次第ですので絶対にMalaysiaで働きたいという方は現地採用者となること目指した方が良いです.
Malaysiaでの現地採用者
Malaysia企業の求人に応募することで,Malaysiaで働く可能性を得ることができます.
Malaysiaで現地採用者として働く場合の給料相場はRM7,000-10,000/月(日本円 20万 - 30万円)となり,Malaysia現地の大学卒の給料の3倍程度です.
給料以外にも,次のようなサポートを受けれる場合があります.
- 日本からMalaysiaへ行くための片道航空券
- 労働ビザ取得のサポート
- 医療費補助
Malaysiaで働くことのメリット
日本を出て海外で仕事をする機会をもらった私は,海外に出て視野が広がったと感じます.
日本で何年働いてようやくできるような経験をわずか3年の期間でMalaysiaですることができました.
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世界には数多くの国がありますが,Malaysiaで働いて良かった点は次になります.
ココがおすすめ
- 英語で仕事・日常生活のほとんどが完結する
- 欧米に比べると気軽に英語で会話ができる
- 「何とかなる」という安心感を覚える
- 外国人も受け入れる多様性がある
- 若くて熱意のある人が多い
- 日本人でも住みやすい
メリットについて一つずつ解説をしていきます.
英語で仕事・日常生活のほとんどが完結する
Malaysiaの国語は「Bahasa Melayu」,いわゆるMalay語です.
Malaysia人ならば誰でもMalay語を話すのですが,Malaysia首都圏を中心にして英語が幅広く話されます.
日常生活における食事,買い物はすべて英語で済みますし,仕事も英語が共通言語となっています.
Malaysiaに移住してきたばかりの頃,不思議に感じたことはMalaysia人同士でも英語で話をしていたことです.英語の方が話しやすいというMalaysia人もたくさんいます.
日本人にとって,Malaysiaでは英語で日常生活から仕事までこなすことができるので言語面での苦労は少ないです.
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欧米に比べると気軽に英語で会話ができる
日本で英語を学ばれた方にとって,英語を話すことが億劫になる理由が「英語の発音」や「英文法」です.
日本人独特の英語発音や間違った文法を話すと恥ずかしいと思う気持ちが前に出てしまい,英語で話すことを遠ざかりたくなります.
特に米国人,英国人を前にして英語を話すと,いっそう「英語を間違っていたらどうしよう」という気持ちが膨らんで思うように英語が話せません.
しかし,Malaysiaではみんな英語を学校で学んでおり,日本人と同じ状況です.
Malaysia人の英語を聞いていたことがある方ならば共感していただけると思うのですが,Malaysia人の英語は「Manglish」と言われる独特の訛りがあります.
Malaysia人が話す英語は確かに早いのですが,文法は所々で間違っていて,発音も「米英式」ではありません.
Malaysia人の英語を聞いていると,肩の力を抜いて自分が話したいように英語を話せばいいのかと自信がついてきます.
もちろん,英語の基礎体力は必要ではありますが.
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「何とかなる」という安心感がある
日本では生まれてから死ぬまで「既定路線」が敷かれていて,既定路線を外れたことをすると不安を感じて,時には周囲から批判を受けます.
私は日本人の典型的な人生を歩んできた一人だと思っていますが,やはり人とは違う人生の選択をすることは相当の勇気がいます.そして,人と違うことをして失敗した時にどうなるのか深い井戸に落ちるような不安があります.
Malaysiaに移住して一緒に働いているMalaysia人を観察していると,日本人とは違う価値観を持った人たちで私の中の「日本の当たり前」が音もなく崩れていくようでした.
また,将来,日本に戻ることになっても,何かあったら日本を飛び出ればいいということに気付かされたことは重要でした.
ポイント
やはり日本しか選択肢がないと視野が限定されますし,いざとなれば海外に行ける術を知っていることは精神的な安定につながります.
外国人も受け入れる多様性がある
世界中には多民族国家は数多くありますが,Malaysiaは多民族国家の中でも民族同士の軋轢が比較的少ない国です.
Malaysiaはもとより移民を受け入れてきて発展してきた国ですので,日本人であっても暖かく接してくれます.
私は外国人であることを理由に冷遇されたことはありません.
歴史的にもMalaysiaは東方政策を採用してきており,日本を模範として経済発展をしてきました.Malaysiaは親日国であると感じます.
日本人でも住みやすい
Malaysiaは日本人にとって住みやすい国ですので,働く上での基礎となる生活面は安心です.
一般財団法人ロング指定財団でもMalaysiaは14年間連続で「ロングステイ希望国・地域」に選ばれています.
前項で述べたように外国人であることを理由に排除されることはありません.
Malaysiaには約3万人の日本人が住んでおり,日本の食料品は手に入りやすく,日本食のレストランも多数あります.
治安が良くてテロはほとんど発生しておらず,インフラは発達しているので安心して生活することができます.
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Malaysiaで働くことの悪いところ
光があれば,影があります.
Malaysiaで働くこくとの,私が悪いと思ったところを列挙します.
ココに注意
- 「英米式の英語」は身につかない
- 「中国大陸の中国語」は身につかない
- 余暇の過ごし方について選択肢が限られる
- 給料水準は高くない割に,物価は高く為替は不安定
- 日本語を武器にはできるけど,通訳としてのキャリアになる
Malaysiaで働くことの悪い点を一つずつ書いていきます.
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「英米式の英語」は身につかない
Malaysiaの良いところは「気軽に英語で会話できる」ことを挙げました.反面として,教科書で習うような『英米式』の英語は身につきずらいです.
Malaysia人の話す英語はこなれていて,話す速度も早いですが,よく聞いていると発音も文法も「癖」が強いです.
私はTOEIC 950点を取得していますが,Malaysiaに来た当初は現地の英語を聞き取るのに苦労をしました.
3年間Malaysiaで生活をしていますが,英語で日常会話をすることは慣れましたが,移住前よりも英語に対して「良い加減」になった気がします.
「中国大陸の中国語」は身につかない
Malaysiaで働きたい人の目的の一つが「英語と中国語の多言語環境で英語と中国語の両方を身につけられる」ことだと思います.
残念ながら,Malaysia人の「英語」と「中国語」はどちらも本場の言葉とは距離があります.
前節で書いた英語を参照していただければ,中国語についても状況が相似しています.
Malasyiaの中国語も「中国大陸の中国語(主に普通话)」とは異なります.
中国の方言にあたる「広東語,閩南語,福建語」が多くの場面で使われ,会話の始めは普通话で話していたのに語彙に方言が混じるため標準的な普通话をMalaysiaで身につけることは難しいです.
私は中国教育部が認定している中国語試験のHSKで上から2番目の試験に合格をしていますが,Malaysia人(主に華僑)の話す中国語は60-70%しか聞き取れません.
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余暇の過ごし方について選択肢が限られる
Malaysiaは娯楽の選択肢が少ないです.車社会であるため街歩きという概念が希薄で,週末はもっぱらshopping mallに行って買い物をすることになります.
Malaysia国内の旅行については,透き通るような海があり,ジャングルがあるのですが,一度訪れると満足してしまいます.
四季もないため,季節ごとに移り変わる自然を楽しむ旅行もできません.
給料水準は高くない割に,物価は高く為替は不安定
Malaysiaで現地採用者として働く場合は給料相場はRM7,000-10,000/月(日本円 20万 - 30万円)となり日本の新卒で働いた場合と変わりません.
一方でMalaysiaの物価は年々上がっており,「Malaysiaの物価は日本の3分の1」だと聞いてMalaysiaに移住すると意外に高い出費に驚きます.
例えば,おしゃれなカフェで食事をするとRM 40(日本円 1,200円)はします.
Malaysiaに移住して生活水準を上げなければ充分に貯金ができますが,日本と同じ水準の生活を目指すと貯金は難しいです.
Malaysiaに永住するわけでなく,いつかは日本に帰ることが念頭にあるのであれば為替についても意識をしなくてはいけません.
Malaysiaの通貨「Malaysia Ringgit(RM)」の力は強くなく,対日本円で大きく変動します.簡単に書くと,せっかく稼いだMalaysiaの給料も日本に帰るときは通貨の価値が下落していて日本円に換金すると目減りすることがあり得ます.
日本語を武器にはできるけど,通訳としてのキャリアになる
Malaysiaの企業が日本人を雇うとすると,「日本語が武器になる」ことが大きな理由です.
Malaysiaには多くの日系企業が進出しており,Malaysia法人において日本人顧客に対する営業窓口,Malaysia同僚と日本本社を結ぶ職務などの仕事があります.
日本語を武器にして,現地の同僚よりも3倍近い給料をもらえますが,キャリアを考える上では注意が必要です.
日系企業の現地法人で「通訳」となると,文字通り,会社の指示を受けて顧客に「通訳」することが主要な仕事となり,管理職の業務を行わせてもらえずキャリアを発展しずらいです.
生活と仕事の両立のしやすさ都市番付でKLは下位4位
最後のこの章では,Swedenに拠点をもつIT企業Kisi Inc.が発表した2020年度版work-life balanceの都市別番付を参考にして,Malaysiaの首都Kuala Lumpur(KL)における働きやすさを見ていきます.
Kisi Inc.によると,19の指標をもとに世界の50都市を評価しています.指標の例としては,
- 失業率
- 副業率
- 通勤時間
- 就業時間
- 有給取得日数
- 社会的な福利厚生
- 弱者救済の社会的補助
- Covid-19による失業率の悪化度
- Covid-19による活動制限の厳しさ
→ Kisi Cities With the Best Work-Life Balance 2020
調査対象都市に中国大陸の都市が入っていませんでしたので,今回の調査はあくまで参考程度に見て,順位そのものよりは評価の理由を考える役に立ちます.
仕事と生活の調和が取れている都市 Best/Wost 5位
生活と仕事の両立が取れる Best 5都市は,次になります.
Best 5 都市
- Oslo(Norway)
- Helsinki(Finland)
- Copenhagen(Denmark)
- Hamburg(Germany)
- Berlin(Germany)
仕事と生活の調和が取れている都市の上位は,いずれも欧州,特に北欧の都市でした.
仕事と家庭が両立しやすい,典型的な印象と一致していて新鮮味があまりありません.
逆に,仕事が優先になり,生活の両立が難しい都市の番付を発表します.
仕事が忙しすぎる都市 worst 5は,次のようになっています.
Worst 5 都市
- 香港
- Singapore(Singapore)
- Seol(韓国)
- Kuala Lumpur(Malaysia)
- 東京(日本)
いずれもAsiaを代表する都市ばかりです.
KLは働きすぎ第4位
Kuala Lumpur(KL)がwost第4位に位置していました.
調査結果によると,KL市民は週に52時間通勤と仕事に時間を割り当てていて,年に12日間しか有給休暇を取得していないと言います.
各国を評価する19の指標のうち,多くの指標でKuala Lumpurは50都市中最下位になっています.
ココがダメ
- 幸せ・文化・余暇
- 社会的な活動
- 医療体制
- 精神医療
- 野外活動
- 寛容性
個人的に納得したのは,「社会的な活動・文化・余暇・野外活動」の項目です.
週末どこかで遊ぼうと思っても,Kuala Lumpur近郊ではやることが限られていきます.
他には意外に腑に落ちた項目は「寛容性」.
Malaysiaは多民族国家として,民族が調和している国の象徴のように語られます.実際に外国人の私の目から見ても調和しているのですが,一方で「土地の民(Bumiputera)政策」に見られるように,民族によって国の福利厚生が異なり就学・就職の可能性も異なり,見えないところでの軋轢は存在するようです.
まとめ:マレーシアで働くと「人生の選択肢」が増える
Malaysiaで働くことのメリット・デメリットについて解説をしました.
ココがおすすめ
- 英語で仕事・日常生活のほとんどが完結する
- 欧米に比べると気軽に英語で会話ができる
- 「何とかなる」という安心感を覚える
- 外国人も受け入れる多様性がある
- 若くて熱意のある人が多い
- 日本人でも住みやすい
ココに注意
- 「英米式の英語」は身につかない
- 「中国大陸の中国語」は身につかない
- 余暇の過ごし方について選択肢が限られる
- 給料水準は高くない割に,物価は高く為替は不安定
- 日本語を武器にはできるけど,通訳としてのキャリアになる
私がMalaysiaで働いてみて,価値観が色々と変わりました.
最大の心境の変化は「日本で暮らしていくことだけが全てではない」と気付けたことです.
日本で住んで働いているときは日本で暮らすことが「当たり前」でしたが,Malaysiaに移住してみるとMalaysiaであろうが,他の国であろうが自由に移動して,住みやすい環境,働きやすい職場を求めて国境を越えることができる自由に気づきました.
他にも,日本人は世界一勤勉だという固定概念を持っていましたが,MalaysiaでもMalaysia人の同僚には,日本人以上に結果に責任感を持って,仕事を仕上げてくれる人がいることに感心しました.
私が感じたMalaysiaで働くメリット・デメリットを並べましたが,Malaysiaで働くメリットの総合点の方がデメリットを上回っています.
もしMalaysiaで働くことに興味が出ましたらぜひ一歩前に踏み出してください.応援しています.
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