Malaysia国民の大部分がIslam教徒であるため,毎年Ramadanと呼ばれるIslam暦9月に断食が行われます.
断食後の食事を楽しむために,お祭りの露店のようなbazaarが開催されて熱気に包まれます.
2021年は感染症対策で規模を縮小して開催されていますが,Malaysiaの文化を楽しむにはRamadan bazaarは絶対に欠かせない一大行事です.
この記事は,次のような方にお役に立てるように書いています.
こんな方におすすめ
- Malaysiaにお住まいの方
- MalaysiaにおけるRamadanの習慣に興味のある方
この記事の内容は次になります.
本記事の内容
- Islam教の五行の一つ「断食(サウム)」
- RamadanはIslam暦の9月,毎年11日ずつ早まっていきます
- 断食を終えた後に,晴れの舞台となるRamadan Bazaar
MalaysiaのRamadan
Malaysiaは国民の60%以上がIslam教を信仰しています.
ココがポイント
東南Asiaの中でもMalaysiaは指折りのIslam教国家です.
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Malaysiaの日常生活でも,Islam教に関する習慣が根付いていたり,街中ではたくさんのモスクを見かけます.
Ramadanについて簡単にご紹介します.
Ramadan(ラマダン)≠ 断食
Ramadan(月)とは,Islam暦における9月を意味します.
2021年のRamadanは4月13日から5月12日までとなっています.
後述するように,Islam暦と太陽暦の1年の日数が異なることから,毎年Ramadanの時期は異なります.
Islam教の5つの義務
Islam教における5つの義務は次になります.コーランに書かれている規範的な儀礼として五行といわれます.
- 信仰告白(唯一神への信仰の告白)
- 礼拝(神へ向き合う習慣的な行為)
- 喜捨(貧しい人,旅人にお金をめぐむ行為)
- 断食(日出から日没まで行う断食)
- 巡礼(メッカのカーバ神殿への参拝)
4つ目の義務がまさに「断食」です.
Islamにおける断食を「サウム」と呼びます.
預言者Muhammadは,Ramadan月に断食を行い精神的な精進を行うように神のお告げを授かります.
Ramadanと断食(サウム)を同一視している人がいますが,これらは異なるものです.
Ramadanの目的
決して,断食を行うことで苦しみを味わうこと自体が目的ではありません.
飢えを体験することで,日々の糧に苦しむ貧困に思いを至らせ,裕福な人が貧しい人に施しをする時期です.
Ramadanの時期は,Islam教徒の間で次のような挨拶を行います.
- Ramadan Mubarak(良いRamadanを)
- Ramadan Kareem(恵みあるRamadanを)
もし自分がIslam教徒でなくても,Islam教徒の友人に上の挨拶をすることはできます.
Ramadanの時期は毎年異なる
Islam暦では一年が354日となっており,太陽暦(私たちの日常使っている暦)の一年365日よりも11日短いです.
したがって,毎年Ramadanの時期は,(太陽暦を基準にすると)11日ずつ早くなっていきます.
11日ずつ毎年Ramadanの時期がズレることにより,世界中のIslam教徒たちは全ての季節にRamadanを迎えることになります.
断食の時は自分の唾さえ飲まないことも
日中は文字通,水一滴飲まないほど厳格に断食が行われます.
体が弱い方や妊娠中の女性,そして旅行中の人は断食を免除されます.
Ramadan期間,断食の時間帯
Ramadanの時間は日の出から日没までとされていますが,正式な時間はRamadanの時期がズレることに伴い変わっていきます.
おおよそ,朝5:30(Suhur)から夜19:20(Iftar)まで断食が行われます.
断食前の夜が明ける前の朝食を「Suhur(Sehri)」といいます.
そして,断食後の初めて口にする夕刻の食事を「Iftar」と呼びます.
Ramadanの断食開始時刻は「Suhur」で,断食が終わる時刻が「Iftar」で表されます.
モスクからは,「Suhur」と「Iftar」を知らせる祈祷の音が定刻になると鳴り響きます.
「Suhur」は朝5:30ごろに大音響で祈りの声が町中に響き渡るので,慣れない外国人の方は日が登る前の暗い時刻に目を覚ましてしまいます.
私のMalaysiaの職場にも,たくさんIslam教徒の同僚がいます.
Ramadanの時期は,朝早めに出勤して,夕方は早めに帰宅することが多いです.
日中の仕事中は,普段より雑談が少なく,日中の体力を集中して仕事に使っているように見受けられます.
Ramadan期間中は,なるべく職場でお菓子を食べたりして,断食中の同僚の気に触れないように私は気をつけています.
Ramadan期間中でも外で食事できるMalaysia
中東の国など,敬虔なIslam教の国では,Ramadanの時期は飲食店が日中一斉に閉店するそうです.
しかし,Malaysiaでは,断食の時間帯も飲食店が開いています.
宗教習慣の違いでしょうが,どことなく寛容なMalaysia文化が影響しているような気がします.
Islam教の基礎知識を学べるおすすめの本
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なぜIslamの女性は布で体を覆い,髪の毛を隠さなければならないのか,本書を読むとなるほどと納得します.
MalaysiaのRamadan Bazaarに行ってきました
ポイント
Ramadan Bazaarとは,Ramadanの期間に露店が出店して食べ物を販売するお祭りのようなものです.
日中にbazaarで食事を買っておき,1日の中で断食が終わる時間を迎えると,一斉にbazaarで買った食事を家族と楽しみます.
夜までbazaarは開いていることから,断食を終えたIslam教徒たちが祝祭のように賑やかにbazaarで食事を楽しみます.
2021年はRamadan Bazaarは開催
この記事を書いている2021年4月は,武漢肺炎が世界中に大流行してから迎える初めての目のRamdan Bazaarです.
大部分の都市ではRamadan Bazaarは行われていますが,Kelantan州政府は独自に2021年もRamadan Bazaarを中止することを決めました.
→ New Straits Times: Kelantan cancels Ramadan bazaars, terawih prayers
→The Strait Times: Most Kelantan districts to be placed under MCO from Friday as Covid-19 cases surge
人々が密集する活動は禁止されてきたMalaysiaですが,感染症対策を行いながら,ようやく待ちに待ったRamdan Bazaarが開催されたので,現地での体験記をご紹介します.
CMCO中のRamdan Bazaar新規則
Kuala LumpurとSelangor州では,CMCO(条件付き行動制限令)が4月28日まで延長になっています.
感染症対策は継続していますが,MalaysiaにおけるRamadan Bazaarの重要性が考慮されて,特別な規則のもとに開催が許可されました.
- Ramdan BazaarはSOP(衛生管理規則)厳守の元で開催可能
- Ramadan Bazaarは,15:00-20:00の時間帯のみ開催
- SOP違反案件に関する罰金は,個人に対してはRM 10,000,お店に対してはRM 50,000が課せられる
- 全ての飲食店は,Ramadan期間中は朝6:00まで営業可能(断食開始前の食事を提供することが目的)
飲食店の営業時間延長は,夜遅くまで働いている人が朝5:20ごろから始まる断食までにご飯が食べられるようにという配慮です.
BangsarのRamadan Bazaarを訪れました
BangasarにあるRamadan Bazaarを訪れました.
2020年のRamadanは4月にありましたが,当時感染症対策として強固な行動制限令,MCO(Movement Control Order)が発令されました.
そして,外出はもちろんのこと,Ramadan Bazaarは中止となりました.
2021年は2年ぶりにRamadan Bazaarが開催となりました.
Ramadan Bazaarは,Muslim(Islam教徒)の人にとって一種のお祭りのような意味合いがあります.
2020年のBazaar中止は政府としても苦渋の選択でしたし,Malaysia国民に衝撃を与えました.
断食という苦行を同じ信仰を持つ仲間全員で行うことで所属意識も熟成します.
そして,断食が終わる夕刻以降,お祭りのように盛大に家族や友人と食事を楽しみます.
Ramadan Bazaarはただ食事を提供する以上に,祝祭の雰囲気を出してくれる重要な役割があります.
Bazaarを歩いていると,炭火で鶏肉の串を焼く女性の姿が目に入ります.Malaysia料理の定番Sate(Malaysiaの焼き鳥)です.
甘辛のソースにつけて焼き鳥を食べます.ビールが飲みたくなる味ですが,当然売っていないですし,Muslimの前でお酒を飲むと失礼なので,家でビールを飲みながら1人でSateを頂きます,
揚げドーナッツや,もち米で作る伝統お菓子”Kuih”が並んでいます.
Ramadan期間に入り,Malaysia国内の新規陽性者は2,000人台に増加しており,やや緊張感があります.
陽性者数が増加傾向を示していることから,Ramadan Bazaarの開催中止を求める声も上がっているそうです.
人々がSOPを遵守すれば,屋外の活動は感染riskは低いと思うのですが,どうしても人が密集する可能性があります.
幸いBangsarのRamadan Bazaarは人で混んでいることはありませんでしたが,他の場所で開催されているBazaarでは,警察官が密集を避けるように指示を出しているそうです.
日が出ている間は断食が続いているので,Islam教徒のお客さんは購入して持ち帰ります.Iftar(断食後の夕食の時間)になると,家族と一緒にBazaarで購入した食事を食べます.
彩鮮やかなジュースを売っている露店もあります.特に一番右のピンク色の飲み物は甘そうでした.
上の写真の右手に車いすに乗った人が募金箱を持っています.
Ramadan期間中は,恵まれない人に対して喜捨を行う文化があり,Bazaarには多くの募金箱を持った人が並んでおり,喜捨をする人の姿をみました.
日本の焼きそばのような見た目の,Mee Gorengが鉄鍋に乗ったまま売られています.
MalaysiaのRamdan Bazaarのお店は家庭的な料理や伝統料理を出しています.
なぜか,日本のたこ焼き屋の屋台もありました.
まとめ
日本の夏祭りのような,祭事を厳粛に行う雰囲気と溢れた活気が発散している空気が混じっており,Ramadan Bazaarは面白い体験です.
もし旅行期間中がRamadanでしたら,ぜひRamadan Bazaarを訪れてみてください.
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