現地時間2020年10月2日(金)USのDonald J. Trump大統領が新型肺炎の陽性を発表して世界は激震に見舞われました.
新常態の世界に慣れていた私もひどく衝撃を覚えました.実は最近,Malaysiaでも閣僚の一人がPCR検査陽性が出たり,1日の新規陽性者数が過去最高を更新するなど,疫病は油断ならない状況になっています.
Malaysiaに住む一人として,最近の空気の変化についてお伝えします.
Donald J. Trump大統領がついに新型肺炎陽性に!
Malaysia時間2020年10月2日(金)15:00ごろ急遽速報で,USのDonald J. Trump大統領が自身のTwitterで新型肺炎の検査で陽性だったことを明かしました.
Melania Trump大統領夫人も陽性反応が出ました.
Tonight, @FLOTUS and I tested positive for COVID-19. We will begin our quarantine and recovery process immediately. We will get through this TOGETHER!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 2, 2020
大統領選を目前に控えての隔離処置となり,世界情勢に大きな影響を与えることは必至になりました.
Donald J. Trump大統領とMelania大統領夫人には一刻も早く回復されて元気なお姿を見れることを祈っています.
Malaysiaでも米大統領の感染は衝撃的に報道
USから距離にして15,000km離れたMalaysiaでも衝撃的なnewsとして各社大きく取り上げています.
Trump大統領の陽性検査のnews前後で,私の周りの空気は変わったように感じます.
地球上最大の権力者の一人であるUS大統領でも新型肺炎にかかるのか?ましてや一般市民は言わずもがなです.
Malaysia国内でも緊張感高まる
新型肺炎が蔓延し始めた2020年年初,Malaysia政府は3月にMCO(Movement Control Order,行動制限令)を発令しました.
強硬な手段を取った甲斐もあり,6月以降新規感染者が一日100人以下という日が続き,感染予防に成功したと思えたMalaysiaでした.
防疫では成功にしたように思えたMalaysia政府ですが,US大統領の新型肺炎陽性結果のnewsと並行して,国内で直近の感染者増加が指数的に加速しており抜き差しならぬ状況になっています.
Malaysia国内新規陽性者,過去最高691人
Malaysiaでは2020年3月から厳格な都市封鎖を行い,一旦は肺炎の拡大防止に成功したように見えたのですが9月ごろから再び拡大の傾向を示しています.
感染状況の潮目が変化
MCO(Movement Control Order)が実効された2020年3月16日以降,1日あたりの新規陽性者は150人前後の日が1ヶ月続いた後は比較的新規陽性者の数はなだらかに0に収束していくように思えました.
しかし,10月になる前は一日100人以下の新規陽性者だったのが,10月になった途端に毎日250人を超える新規陽性者が確認され,ついに2020年10月6日に1日あたり新規陽性者数691名となり過去最高数となりました.
治療中の人数は10月6日時点2,936人となり,同じく過去最高数となってしまいました.
10月4日の新規陽性者は293人だったことから,わずか3日で1日あたりの陽性者が2倍になったことになります.
新規陽性者数の絶対数もさることながら,拡大の速度が加速していることが,政府を神経質にしています.
私のMalaysia同僚は,毎日増加する陽性者数にため息をついていますが,割と冷静にnewsを見ています.
最終手段のMCOが再び発令されるか?
国民の注目は,再びMCOが実効されるのかどうかになっています.
Malaysia政府は国民の日常生活を制限するという最終手段を一度使ってしまっています.
国民の次の疑問に答えられないと,政府は経済を冷凍させる手段を採択することは許されません.
- あえて,もう一度MCOをして意味があるのか?
- MCOを再発動したところで,MCOを解除したらまた同じように再拡大するだけではないか?
そもそも,1回目のMCO発動時,MCOの緩和(CMCO,RMCO)導入の数値的根拠を政府は示していないため,2回目のMCOを発動する正当化は論理的には難しいと私は思います.
PCR検査能力と陽性者数
新規感染者増加の仮説としては,次の2つの要素が大きいと考えています.
- PCR検査の検査能力(capacity)を向上
- PCR検査の検査条件緩和
新規陽性者は爆発的に増えていますが,新型肺炎を理由にした国内死亡者数は累計130人程度で増加傾向は鈍化しています.
新型肺炎が世界を襲ってから半年の戦いの間で蓄えた医療知識をもとに,Malaysia政府には冷静に防疫して保」しいです.
私の身近でも陽性者
最近,私の知り合いの家族に新型肺炎の陽性者が出ました.
その知り合いと接触した人はみんなPCR検査を受けた上,検査結果が出るまでは自宅隔離となりました.
症状が出ていなくても,疑わしきは検査するという方針のもと,PCR検査の検査capacityが拡充したことを実感しました.
結局,その知り合いを含めて”濃厚接触”した同僚は皆感染しておらず,集団感染の可能性は低くなりました.
国内感染者累計が12,000人を超えており,Malaysia人口比で少なくとも約3,000人に一人が感染経験者ということになります.
Trump大統領の感染もありますが,すでに誰にでも確率的に感染しうる病気だと感じます.
Malasyia政府内でも陽性者検出
Malaysia政府のZulkfli宗教担当相は新型肺炎の検査で陽性結果が10月5日に出ました.
Muhydinn首相が座長となった国家安全委員会の特別会議にZulkfli宗教担当相が出席しており,Muhydinn首相は自らを濃厚接触者と認めて,14日の自主隔離を行うと宣言をしました.
現時点(2020年10月5日時点)では,Muhydinn首相が新型肺炎に感染したという情報はありません.過去3週間,検査を受けた結果全て陰性だったと本人は主張しています.
Zulkfli宗教担当相には,いち早く回復されることを祈ります.
政府内部から,しかも首相の身近で新型肺炎陽性者が出たこともあり今後の政府動向に要注意です.
MCOは再発令することはないと政府内高官は発言をしていますが,MCOが再び発動されたらどうするかを改めて考え直す良い機会です.
Sabah州限定CMCO(条件付き行動制限令)発動
オラウータンの住む秘境Kona KitabaluのSabal州で2020年10月7日から再びCMCOが執行されることになりました.
集団感染が確認されて,最近になり感染危険性が急上昇していることを受けた政府判断です.
→The Straits Times: CMCO for Kota Kinabalu, Penampang, Putatan starting Oct 7
Sabah州選挙が9月26日に行われ,政治的な混乱も予想される一方で,選挙に参加する人々の移動により新型肺炎の拡大が危惧されていました.
10月7日のCMCOの発令をを受けて,制限が課せられました.
- Sabah州への移動制限
- Sabah州内での飲食店の営業時間短縮
- 規則違反者への罰則強化
まとめ
Malaysiaはまだ国外に向けて国境を開いていません.
国内の感染状況を考慮すると,政府が外国人を積極的に受け入れるという方針を採択するにはまだ時間がかかりそうです.
政府としては,MCOという強硬な行動制限令で感染防止を徹底したにもかかわらず,再び急増加の傾向が出てきて,焦燥感に駆られていると思います.
また政府の閣僚からも感染者が出たことから,国民に対して防疫体制のさらなる強化を求める流れになるのではないでしょうか.
MCOの期間経済団体から猛反発を受けたばかりでなく,実際にCY20 2QのGDPは17%も下げたことから,流石に経済活動を止めるようなことはないと信じています.
しかし,”もしlock-downがもう一度実行されたら”という想定で備えなくてはならないでしょう.
前回のMCOで私が学んだことは国家権力の発動下では個人の力はあまりに無力だということです.
備えることでしか,戦い抜くことはできません.