将来,海外勤務を希望しているのですが,日本で勤務した時と比べて海外での仕事はどのように役職,働き方が変わりますか?
私が実際に東南AsiaのMalaysiaで駐在員として経験したことをもとに,「海外勤務で働き方,仕事への取り組み方がどのように変わるか」を紹介します.
本記事は次の疑問にお答えするように書きました.
海外駐在員の働き方・役職に関する疑問
- 海外勤務をすると働き方がどのように変わる?
- 海外赴任は地獄のように働く?
- 海外駐在員のメリットは?
日本勤務に比べて,海外駐在員となり海外で仕事をすると外部環境が変わるだけでなく,求めらる仕事も大きく変化します.
本記事は次のような方におすすめです.
こんな方におすすめ
- 将来,海外駐在を目指しいている就活生・若手社員
- これから海外駐在員になる予定のある方
私は現在の日系企業に入社して3年ほどで,Malaysia現地法人に駐在員として派遣されました.
日本で勤めていたときは一担当者に過ぎませんでしが,初めての海外勤務で部下を持ったリーダー業務を任命されました.
海外での仕事を覚えたり,現地の生活に慣れたり,目まぐるしい海外勤務を3年経験しました.
私の経験をもとに,「海外勤務は日本とはどのように環境が変わるか」を書きます.
海外駐在は自分を成長させる機会を得ることができる一方で,大変なこともたくさんあります.「海外赴任はやめておけ」という意見も一面では理解できますが,得られるものも多いことは事実です.
本記事を読んでいただき,海外駐在員の実態が少しでもお伝えできれば幸いです.
海外勤務は日本勤務と何が変わる?
身近に海外駐在員がいないと,「海外駐在員の働き方」について具体的な描写を得にくいと思います.
私は新卒で日本企業で数年勤めたのち,海外駐在員になり本記事を書いている時点で2年目を迎えています.
日本と海外での働き方について,私の経験に基づいて変化を紹介していきます.
働き方の変化
海外勤務での働き方の変化は次の5点になります.
海外駐在員に選ばれること自体は,会社が将来の活躍を見据えて評価をしてくれている証左です.
日本では経験できないような仕事を海外勤務ではできます.
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海外赴任は激務のためストレス管理が重要
一方で,日本にいるときに比べて責任が増して労働時間が長くなりますし,慣れない国外生活でストレスが溜まりやすいので,肉体的,精神的な疲れを解消することも気をつけなくてはなりません.
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報告の階層が少ない,上層部との直接の意見交換
海外法人の中で物事を決める速度は早いです.
即断しなくては機会を損失するので,早くならざるを得ません.
海外法人の方が意思決定者が少ないため,大型の投資案件でも「私→直属の上司→上司の上司→本社決済」という流れで比較的早く判断が行えます.
日本勤務の場合は,ものごとを決める階層が多過ぎて,私は資料の一部を作った後は,上司が部長に説明して,部長が関連部署に付議して,最後に社長に付議するという長い判断のタライが回ることになります.
海外勤務の場合は,資料を作って,私自身が海外法人の上層部へとプレゼンを行い判断をしてもらうことができます.
ポイント
上層部の人たちがどのように投資可否を判断するか要点を掴むことができ,プレゼン資料・発表でいかに必要な情報を伝えて部門長の承認を得るための能力を得ることができました.
部門の垣根をこえて横断的な仕事になる
海外法人は基本的には現地の人が運営をして,日本人駐在員は補助的な位置付けとなります.
海外法人の各部署に赴任していいる日本人は数名程度です.
場合によっては,全く日本人駐在員がいない部門もあります
.
駐在している日本人は自分の部門以外にも,部門の垣根を越えて,海外法人での仕事をまとめていくことになります.
企画から営業,販売まで一連の流れを知ることができます.結果として,会社の商売がどのように行われているのか俯瞰的に知ることができます.
他部門の仕事を100%行うことはありませんが,自分が所属する部門と他部門がどのように連携しているかがよく見えてきます.
日本勤務では,自分は一人の担当者でしかありませんでしたので,自分の働きがどのように他の部門に影響して,最終的な会社の売り上げにつながっているか意識が行きませんでした.
海外勤務では海外法人という,一つの枠の中でどのように仕事が回っているか見渡しよく眺めることができます.
ポイント
視座が高まるだけでなく,部門と部門の間で起きている意思疎通の問題点にもいち早く気づくことができます.
慣例で行っていた仕事でも点検すると,相手の部門が求めていない仕事だということに気がついて,「不要な仕事はやらない」という決断もできます.
自分で決断する場面が増える
海外法人では,職位が上がるので裁量範囲が拡大します.
そして,海外勤務では自分で判断して方向性を決めなくてはいけない場面が増えます.
日本勤務では個人で決断する場面はほとんどありませんでしたが,海外勤務の時の方が判断する数は圧倒的に多いです.
毎週,毎月のように事業の方向性,問題対処,投資案件を決めています.
なぜなら自分自身が海外法人の部門の”顔”になるので,部門と部門の折衝を任されたり,お客さんとの窓口を一括して引き受けることになるためです.
海外で働いていると,日々問題が起きますが,マニュアルもないので,臨機応変に対応しなくてはなりません.
日本本社にお伺いをかけて対応を仰いでも判断に時間がかかり過ぎますし,日本本社の人は現場のことをわからないので結局判断をしてくれないこともあります.
現場で問題にであり,リスクを分析して最悪の損害が”自分の裁量範囲”だと見切りをつけたら,すぐに決断をして解決に進みます.
ダメだったら方向修正して取り組めば,大抵の場合はかすり傷くらいで済みますし,本社は現場で問題が起きていることすら気づきません.
もちろん”かすり傷”で済まない問題のときは真っ先に上層へと報告を上げます.
自分の頭で考えて決断をするという管理職に必要な能力を海外勤務では若いうちから培うことができます.
ポイント
次に同じ問題が起きた時にどのように対応をするかを反省して,マニュアルを残しておくことは現地同僚の育成にとって非常に大事なことです.
業務量の増加,生産性の向上
海外勤務は業務量が,日本勤務の時に比べて大幅に増加します.
大量の業務をこなすには業務をこなす効率を上げて,不必要な業務を切り捨てる大胆さも必要になります.
私が海外駐在員となった時の前任者の人は,平日夜9時まで会社に残っていることが当たり前で,会社に寝泊まりしたことも1回,2回ではないと言っていました.
海外勤務になると部門を超えた仕事を任されたり,日本本社への報告資料の作成など駐在員の仕事量は圧倒的に増えます.
日本勤務のときは自分の業務範囲は担当領域のみで,それ以外のことは周りのリーダーと呼ばれる職位の人たちが責任を任されていました.日本にいるときの私の業務量はあまり多くなく,月の残業時間は36時間を超えるがありませんでした.
海外駐在員となり業務量の多さには驚きました.最初は全部自分で抱え込んでこなそうとしましたが,破綻をしそうでしたので,徐々に工夫して生産性を向上していきました.
海外勤務では残業代も出ないので,時間単価を上げることにも意識が向きました.
- 他の人に任せるところは仕事を振る
- 仕事の成果物に対する合格点を確認する
- マニュアル化して反復作業を効率化する
ポイント
毎週,毎月反復して行うような業務は早めに現地の同僚に仕事を任せるようにして,単発の仕事に自分の力を注ぐようにしていました.
単発の仕事も繰り返し同じように依頼されるようになると,マニュアルかして現地の同僚に引き継いで行きました.
職位が一つ上がる
会社としては駐在員を一人送り出すために多くの費用がかかるので,日本勤務時よりも多くの役割を与えて結果を出してもらいたいと考えています.
そして海外勤務になると職位が通常は一つ以上,上がります.
若手社員には背伸びをさせるために,一つ上の職位で管理職の経験を積んでもらう狙いがあります.
私は海外勤務になって,初めて部下を持ちましたが,どのように指示すれば良いか分からず,むしろ部下に教えてもらうことばかりでした.
いままでは「指示をもらって作業をする」姿勢だった私が,どのように指示を出してチームとして結果を出すかということに意識が変わりました.
ポイント
締め切りはいつで,求められている仕事の質はどのくらいか推測して,さらに,みんなが見落としやすい落とし穴はないか先回りして指示を出す癖がつきました.
まとめ:海外勤務は日本に比べて職務レベルが上がり,成長する良い機会に
日本勤務と比べて,海外勤務での働き方,仕事の環境の違いについて紹介しました.
海外勤務での変化
- 報告の階層が少ない,上層部との直接の意見交換
- 部門の垣根を越えて仕事が横断的になる
- 自分で決断する場面が増える
- 業務量の増加,生産性の向上
- 職位が一つ上がる
正直に書くと,駐在員になって1年目は給料に見合わないくらいの忙しさに仕事を投げ出したくなることもありました.
もし私が日本勤務を続けていたら,今も一担当者として狭い範囲でしか仕事をできておらず,会社全体の稼ぎ方も知らず,投資判断をする機会もなかったかもしれません.
数年前の私のように海外勤務を希望しながら実際はどのような働き方になるかわからなかった読者の方にとって,この記事がお役に立てれば幸いです.
ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます.
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